2011年04月04日

00.社会

「慈と悲の心を両手に」、作家の五木寛之さんが講演

慈と悲について語る五木さん

慈と悲について語る五木さん

作家の五木寛之さん(78)を迎えた講演会が3日、和歌山市鷺ノ森の本願寺鷺森別院であり、五木さんは 「慈のこころ悲のこころ」 をテーマに講演。 「今は大変な時代にあるが、右手に明るく生きようという『慈』の心と、左手に嘆き、悲しむ 『悲』 を握りしめて生きていけば、何とかこの世をしのいでいける」 と語った。

仏壇店おぶつだんの佐倉(佐倉弘社長)主催の法話の集い。岩出店新築を記念した講演で、約1200人が聞き入った。

五木さんは、大きな被害を出した東日本大震災に触れ、「 頑張れ という励ましの 『慈』 も大事だが、それとは違う、己の無力さを感じ相手の痛みを思うなぐさめの 『悲』 が今、大切なのではないか」と投げ掛けた。慈と悲は対照的で、慈はプラス、悲はマイナスという誤った考え方があるとし、「悲しんだり、泣いたり、ため息をついたりすることは、実はとても大事なこと」と、悲しみの心は人間の心を癒やし、自分を励ますためにも必要なことだと話した。

また、心の病を抱える教師や医師が多い現状や日本の自殺者が年間3万人を超えていることを挙げ、「私たちは平和の中に生きていると錯覚し、見えない心の戦争で一般市民に戦死者を出している」とうつの時代への危機感を示した。また「最近日本人は泣かなくなった」と言われることについて「悲しい時は悲しむことが重要。嘆きやため息の悲の心がある限り、私たちは心折れずにこの時代を生きていける」と訴えた。

会場では募金箱も設置され、この日集まった義援金は日本赤十字社を通じて被災地に送られる。





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