2011年05月07日

00.社会

わかやま館に南紀男山焼の常設ギャラリー

わかやま館に南紀男山焼の常設ギャラリー

紀州の名勝を描いた大皿や鉢と加藤さん

紀州三大窯の一つ、南紀男山焼(おとこやまやき)を、平成の南紀男山として復活させた加藤ほうあんさん(71)=広川町=初の常設ギャラリーが、和歌山市毛見の和歌山マリーナシティわかやま館地階に誕生した。紀州の名勝などを描いた染め付けの大皿や鉢などが100点以上、常時展示販売されている。加藤さんは、「昔日の南紀男山には及びもつかないと思いますが、どうぞご高覧ください」と呼び掛けている。

南紀男山焼は、文政10年(1827)に崎山利兵衛が紀州藩の許可を得て有田郡広村(現・広川町)に開いた藩窯。明治11年(1878)に途絶えたが、平成8年から加藤さんが復活に取り組んできた。

加藤さんは、「復元に近い形で」と江戸時代の染め付けの色にこだわり、青は今多い明るいコバルトではなく、当時と同じ天然の呉須(ごす)。「子どものころ窯跡でかけらを見て、その青い色が印象が強く残った。いまだに消えないんです」と振り返る。

絵柄は玉津島神社の根上がり松や名草山など和歌の浦の風景が多いが、特に見てもらいたいというのが紀州藩の儒学者李梅渓(り・ばいけい)の「父母状」の陶板。書家の高橋佳子さんが文字を、画家の吉本瑛仙さんが和歌山城の絵を描く。

山部赤人の万葉歌「若の浦に潮満ち来れば...」を高橋さんが万葉仮名や仮名で書いた陶板、青磁の壺や七福神などもあり、価格も500円から7万円までとさまざま。結婚記念に自分で絵を描き焼いてもらう人、自作の短歌を書いて焼いてもらう人もおり、たった一つの、その人だけのオリジナルと喜ばれているという。

2年前に脳梗塞(のうこうそく)で倒れ、しばらく制作を休んだ加藤さんだが、「皆さんに助けられてきました。今後も努力を重ねてより良いものを作っていきたい」と話している。開館は午前10時から午後5時。

問い合わせは加藤さん(TEL090・5903・3067)。





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