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大船渡市の担当者左と北川原さん |
和歌山大学の学生らでつくるボランティア団体 「WTS交流会」 は5月初旬、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大船渡市に救援物資を届けた。約2日間、現地で被災者や行政関係者の声を聞くなどした同会の北川原良雄代表(60)は「家は無事だが仕事を失い収入のない人、り災証明がないために救援物資をもらえない 第2の被災者 の問題が今後クローズアップされていくだろう」 と悲痛な現状を報告した。
現地に向かったのは北川原さんと、活動に賛同した和歌山市井戸の(株)エーアイ・ソリューションズの貴志髙明社長(52)。救援物資は梅干し1400個やミカン約70キロのほか石けんなどの日用品で、中型ワゴン車で和歌山市を出発。大船渡市の生活福祉部に届けた。事前に直接同部に確認して募った必要品であったために喜ばれ、食料が偏りがちな避難者にミカンは特に好評だったという。
現地を回った中でも、同市から車で40分ほどの三陸町綾里・宮野地区に住む漁師(63)の訴えは切実だったという。漁港に100隻ほどあった漁船がすべて津波に流された上、ブランド化されている三陸ワカメが全滅。食料も底をついている状態で、出張所で救援物資を希望しても、家のある人はり災証明がないため、物資の提供が受けられないのだという。同じような状況が、別地区でも起こっているという。
北川原さんは「現地では、行政が『平等に』 を前提に形式的な手順をとるため、物資が手元に届かないなど対応の遅れが生じる」 と指摘。小学校の体育館には全国から届けられた物資が山積みで、現場のコーディネーターが不足しているために振り分けがスムーズになされていないのを感じたという。地区のリーダーによっても配慮の仕方が異なる問題点も挙げる。
北川原さんは「被災者間でも、行政から援助を受けられる人と受けられない人の格差が広がっている。今までのあり方と違った行政の仕組みづくりが必要」と話している。
同交流会では当初、救援物資で支援していく方針だったが、今後はさらにピンポイントで生活に困っている個人や集落など、第2の被災者を支援する活動をしていきたいとしている。
また、同会は5月分の必要物資も募っている。米、缶詰類、梅干し、みかん類。問い合わせは事務局(TEL0736・63・4320)。
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