2011年05月24日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

地元の偉人伝えよう 塩津小児童が劇練習中

初日の練習でせりふ合わせする児童 - 地元の偉人伝えよう 塩津小児童が劇練習中

初日の練習でせりふ合わせする児童

海南市下津町塩津の市立塩津小学校(坂中毅校長)の全校児童11人が、江戸時代に塩津の村を救ったと伝えられている「庄屋彦太夫」の劇の練習に取り組んでいる。演出は、伝統行事「いな踊り」の保存会会長として、児童に踊りを継承している南方嘉門さん(65)。7月23日の地元イベントで発表する予定で、南方さんは「劇を通して多くの人に彦太夫を知ってもらいたい」と話している。


彦太夫は江戸時代に実在したとされる塩津の庄屋。1616年ごろ、紀州藩主浅野長晟が財源政策として船を徴収する「軍船改め」を下した。山と海に囲まれた塩津では、農業と漁業で生計を立ててきたため、村人たちが反対し、村全体で船を山に隠すことに。これが藩の隠密に見つかり、全村人が罰を受けそうになった。彦太夫は一人で罪を背負うことを決心し、家族を残す葛藤(かっとう)に苦しみながらも死をもって罪を償った。

地元の蛭子神社にいきさつが記された古文書が残されており、史実とされる。古文書に詳しい下津歴史民俗資料館の中谷澄雄館長が数年間かけて解読し、原作を作った。これを知った南方さんが彦太夫を知ってもらう劇ができないかと提案。りら創造芸術高等専修学校の山上祐輝教員に依頼し、劇用の脚本が出来上がった。

練習の初日は南方さんが児童の意見を聞きながら配役を決定。彦太夫、妻、村人、役人など11人全員に役が割り振られた。この日は真新しい台本も全員に配布され、児童たちは早速通しで読み合わせしたり、舞台で自分の役の立ち位置やせりふを読み上げていた。主役の彦太夫を務める5年生の寺脇純也君(10)は「毎日一生懸命練習します。本番も頑張りたい。楽しみ」と張り切っていた。

同校は過疎化のため2年生1人、3年生6人、4年生2人、5年生1人、6年生1人の小規模校。南方さんは「少数でもできることを、『小さい学校でも頑張れるんや』ってところを発信したいです」と話している。児童は毎日放課後に練習を重ねていく。





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