2011年06月06日

00.社会

原発を分かりやすく解説 和歌山市で講演会

原子力発電の仕組みと放射能を科学する

原発の仕組みなどについて話す伊東さん

原子力発電や放射線についての講演会が4日、和歌山市小人町の市男女共生推進センターで開かれた。 講師は、原子核工学に詳しい和歌山大学システム工学部教授の伊東千尋さん(48)。 東日本大震災による福島第一原発の事故を受け、日本全国で関心が高まるテーマに、約60人が熱心に耳を傾けた。

市民団体 「きのくにサイエンスラボ」 (宮永健史代表)、 「わかやまSTC」 (赤阪健司代表)主催の市民科学講演会の一環。 伊東さんは 「原子力発電の仕組みと放射能を科学する」 をテーマに講演した。

伊東さんは、 福島第一原発(沸騰水型)の発電の仕組みについて、 「核反応の熱で水蒸気を作り、 その水蒸気でタービンを回して発電する」 と分かりやすく解説。 今回の事故は、 地震で電源が壊滅したことにより、 燃料棒の格納容器に一次冷却水が回らなくなり、 燃料棒の温度が上がったことで容器などが壊れ、 放射性物質が漏れ出したと説明した。

また、 放射性物質を体内に取り込む 「内部被ばく」 については、 口や鼻、 傷口などの経路があるとし、 「摂取の安全基準値内の放射性物質を含む水や肉を毎日飲んだり食べたとしても、 発がん性のリスクはないと考えていい」 と強調した。

質疑応答では、 参加者は積極的に手を挙げて質問した。 「放射能の数値は和歌山ではどうなっているのか」 という質問には 「特に問題ない。 文科省のホームページに和歌山の数値も載っているので確認してほしい」。 「原子力について研究する道に進みたいが、 今後、 国は原子炉をなくしてしまうのか」 という質問には、 全国の大学で原子核工学などの学部が減っている現状を明らかにした。

同市堀止の上甲ひとみさん(56)は 「体への影響など講演を聴いて安心した部分もあったけど、 原子関係の学部が減って、 止められる可能性のある原子炉の処理はどうなるのかなと不安にもなりました」 と話していた。





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