2011年07月22日

03.スポーツ/06.特集/第83回センバツ高校野球

桐蔭13安打で慶風破る 海南接戦ものにし3回戦へ

2回表、 無死1、 2塁から岡崎の中前適時打で生還する服部(桐蔭)

2回表、 無死1、 2塁から岡崎の中前適時打で生還する服部(桐蔭)

大会6日目の21日、 同球場で2回戦4試合があり、 第2試合は桐蔭が慶風を8―2で下し、 第3試合は星林が日高に3―10で破れた。 第4試合は、 海南が貴志川に6―5で勝利し接戦をものにした。

◇第2試合

桐蔭0240000208
慶風0001010002
〔桐〕 久田、 田伏―明渡 〔慶〕 山田、 大瀬、 山田―今野▽2塁打=明渡、 服部、 西川(桐)山田(慶)

桐蔭は2回表、 四球と短打で無死1、 2塁とし、 岡崎の中前適時打で先制。 さらに内野ゴロの間に追加点を奪った。 3回には、 長短打4本に四死球を絡めて4点を追加しリードを広げた。 投げては先発久田が8回を2失点と好投した。

伊藤監督は 「自分たちのペースで戦うことができた。 課題も見つかり、 次につながる試合だった」 と話していた。

慶風は4回、 2死1、 3塁から、 2盗を試みた大西が捕手の悪送球を誘い、 その間に1点を返した。 6回にも起動力を生かした攻撃で1点を奪ったが、 反撃もここまでだった。

大切な仲間に感謝―慶風 田上
ピンチを迎えると三塁手の田上は投手に対して常に声を掛け続けた。 「お前やったら打たれへん。 打たれても守っちゃる」。 田上はチームメートのメンタルケアを担当している。 この試合でマウンドに立った山田は 「あいつの一言がいつも気持ちを落ち着かせる」、 大瀬は 「すごく楽になった」 と振り返る。
8回、 無死1、 2塁の危機では、 大瀬の下に集まりマウンドで初めて円陣を組んだ。 選手らは、 大会の2週間前に谷所監督から教えてもらった言葉を唱えた。 「はるち、 うむち、 つづち」。 いい事が起こるという沖縄の昔の魔法の言葉だった。 ここでも田上は笑顔で大瀬を励ました。
ベンチで田上は、 自衛隊体験や合宿など、 3年間の厳しい練習を思い返していた。 「これだけ厳しい練習をやってきたから、 いつか逆転できる。 まだいける」。 打ちたい気持ちが空回りし、 この試合は4打数無安打だった。 「このチームは仲間の大切さをほんまに教えてくれた」 と感謝を述べた田上は、 目に涙を浮かべながら球場を後にした。
仲間に声を掛け続けた田上(慶風)
仲間に声を掛け続けた田上(慶風)



◇第3試合
星林000102 03
日高0041104X10
(7回コールド)
〔星〕 前北、 井原―安井 〔日〕 門口―水口▽本塁打=門口(日)▽3塁打=橋本2(日)▽2塁打=堀(日)

星林は4点を追う4回表、 2死3塁と攻め、 続く安井の内野安打で1点を返上。 6回には、 2死1、 2塁と好機を広げ、 3連打で2点を奪った。 しかし、 7回に4点を奪われ、 コールドで敗退した。

制球力磨き帰ってくる―星林 前北
試合開始からコントロールが安定していなかった。 得点圏に走者を進めながらも粘りの投球で難を逃れていた2年生投手前北だったが、 3回につかまる。 2死後に2四球と単打で満塁の危機。 迎える打者は、 相手投手の門口。 「試合前から意識していた」 と話す前北は2ストライクと門口を追い込む。 投じた5球目は直球。 外角低めへ狙ったはずが、 ボールは真ん中へ向かった。 快音が響き、 後方を振り返った前北は打球の行方を見守った。 「入るな」。 無情にも打球は左翼手の頭上を越え、 スタンドに吸い込まれた。 夏の公式戦は初登板。 苦いデビューとなった。 試合後、 捕手の安井から 「来年頑張れ」 とエールをもらった。 悔しくて、 何も返す言葉が見つからなかった。 「来年は絶対に初戦を勝ち上がりたい。 制球力を磨いて先輩たちのためにも大きくなって帰ってきます」 と涙を拭いながら誓った。
来年の活躍を誓った前北(星林)
来年の活躍を誓った前北(星林)



◇第4試合
貴志川0000032005
海南13100100X6
〔貴〕西川、吉野―岩本 〔海〕 楠、 松本―黒原▽本塁打=岩本(貴)▽2塁打=畠山2、田川(貴)

海南は初回、 1死2、 3塁の好機を演出し、 吉田の犠飛で先制。 2回には、 1死1、 3塁から楠、 濵地の適時打で3点を加えた。 終盤、 貴志川の反撃を受けたが、 楠、 松本の継投で序盤のリードを守りきった。

森本監督は 「次の試合も自分たちの野球をしたい」 と話していた。

貴志川は5点を追う6回、 3四球で満塁とし、 田川が走者一掃の左翼線2塁打を放ち3点を返した。 7回にも岩本の本塁打などで2点を奪い、 最終回は1死1、 2塁と得点圏に走者をためたが、 後続が倒れ敗退した。
7回表、同点の本塁生還を阻止した黒原(海南)
7回表、同点の本塁生還を阻止した黒原(海南)

笑顔で「ありがとう」―貴志川 田中
試合中、 3年生一塁手の田中は守備位置の1塁ベースで、 かぶっていた帽子のツバを眺めていた。 そこには 「笑顔で」 の文字と笑っている顔文字が書かれていた。 「常に笑顔を忘れず、 リラックスして戦おう」。大会約1カ月前、 チームで決めた約束事だった。
試合中も 「笑え」 とベンチがナインを励ます。 それに応えるように田中は笑顔を振りまいた。 敗れはしたが、 ロッカールームに引き返してきた田中に悔いはない。 「笑顔で思いっ切りできた」。そう話す田中の表情は誇らしげに笑っていた。
高校卒業後は家業を継ぐため、 本格的な野球は今大会が最後という。 3年間の全ての思いを込めて、 自分を助けてくれた仲間に 「ありがとう」 と笑顔で伝えるつもりだ。
最後の舞台を笑顔で終えた田中(貴志川)
最後の舞台を笑顔で終えた田中(貴志川)





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