市高ベスト４一番乗り　高校野球和歌山大会

第93回全国高校野球選手権和歌山大会は11日目の26日、和歌山市毛見の紀三井寺球場で準々決勝2試合が行われた。第1試合で、市和歌山が桐蔭を5―2で下し、2年連続16回目の4強進出を決めた。

◇第1試合

市和歌山	0	0	0	3	0	0	0	2	0	5
桐 蔭	0	1	0	1	0	0	0	0	0	2

〔市〕上―井上〔桐〕根来、奥村、久田―明渡▽本塁打=三家(市)▽3塁打=三家(市)▽2塁打=浜田2、上(市)

市和歌山は1点を追う4回、単打と犠打で1死2塁とし、三家が右中間を割る3塁打を放ち同点。2死後、浜田、上の連続2塁打で2点を追加。8回にも2点を奪いリードを広げた。投げては上が要所を抑える投球で9回を2失点の完投。真鍋監督は「このゲームが一つの山だった。選手も落ち着いてゲームができた」と話していた。

桐蔭は2回裏、2死2塁と得点圏に走者を進め、岡崎の適時打で先制。2点を追う4回は失策で1点を返すも逆転はならなかった。

最後まで笑顔―久田投手
桐蔭のエース久田はどんな危機を迎えても笑顔を絶やさなかった。 マウンド上で、 バックスタンド側を向き帽子のつばを見つめていた。 「笑顔見せてください」。 大会前にマネジャーが書いてくれた言葉だ。 前の試合でチームを救ったエースは、 「この試合も絶対に抑えよう」 と強い気持ちで挑んでいた。
8回の先頭打者は、 久田が一番警戒していた三家。 フルカウントから投じた6球目、 直球は真ん中に。 その瞬間、 快音を残した打球は左翼手の頭上を越え、 スタンドに入った。 だが、 久田は笑顔を忘れない。 「自分が落ち込んだら、 周りの仲間に影響が出てしまう」。
それでも、 試合後の久田の目には涙が溢れていた。 マウンドで振りまいていた笑顔はなく、 「悔しい。 勝てなかった」 と唇を噛んだ。

笑顔で投げきった桐蔭の久田投手

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向陽 完封で8強へ
10日目の25日は3回戦3試合が行われた。 第2試合で、 和商が伊都に2―4で敗れ、 第3試合は向陽が高野山との投手戦を制し、 3―0で競り勝った。

◇第2試合

伊 都	1	0	1	0	0	2	0	0	0	4
和 商	0	0	0	2	0	0	0	0	0	2

〔伊〕 森田―溝上、 渡邉 〔和〕 釘貫、 西村天―西村浩▽2塁打=田久保、 平松(伊)

和商は2点を追う4回、 2本の単打と盗塁で1死2、 3塁とし、 岩田の右前適時打で同点とした。 しかし、 6回に2点を勝ち越され、 準々決勝進出はならなかった。

「最高の相棒です」―西村天・浩バッテリー
6回、1死1、3塁。 ここまで伊都の強力打線を3点に抑えてきた釘貫に代わり、 エースナンバーの西村天がマウンドに立った。 捕手の西村浩は歩み寄り、 「お前の方が実力は上や。 楽しんで思い切り投げてこい」 と激を飛ばした。 「よっしゃー!」。 大きな掛け声と共に2人は互いのグラブでタッチを交わした。 いつからか始まった恒例の儀式だ。
2人は中学時代、 和歌山市軟式野球選抜チームの仲間だった。 西村天は、 和商で西村浩とまたバッテリーを組めることが楽しみで仕方なかった。
交代直後に1点を与えた西村天だが、 この回を最少失点で切り抜けた。 8回西村浩は、 無死で1塁に走者を背負った西村天に駆け寄った。 「思い切り攻めていこうや」 と激励。 1死後、 西村浩は2盗を試みた1塁走者を持ち前の強肩で刺し、 危機を逃れた。 西村天から笑みがこぼれた。 その後も無失点で切り抜けた。
試合後、 西村天は 「彼は最高の相棒です。 ありがとう」 と感謝し、 西村浩は 「あいつがいなかったらここまでこれなかった。 一緒にバッテリーを組めて良かった。 ありがとうと伝えたい」と話した。

グラブでタッチを交わす和商の西村バッテリー

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◇第3試合

向 陽	0	0	0	0	1	1	0	0	1	3
高野山	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0

〔向〕 東山拓―津村 〔高〕 三好、 栄山、 小川―秦▽2塁打=前川、 高野(高)

向陽は5回、 1死2、 3塁と好機を演出し、 津村の犠飛で先制。続く6回には、 2死3塁から古木の中前適時打で追加点を奪った。 投げては先発東山拓が高野山打線を9回3安打に抑える好投。 チームの勝利に貢献した。

石谷監督は 「東山が丁寧に投げてくれた。 次の試合は相手の方がどの部分を取っても上。 ぶつかっていくだけです」 と意気込んだ。

6回表、2死3塁から中前適時打を放つ古木