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太平洋戦争中に少年志願兵が自らの血で書いた「血書」2通=写真=が14日から、和歌山市湊本町の市立博物館(寺西貞弘館長)1階常設展示室で展示される。戦前に徴兵や召募など、兵を募る業務を担った「和歌山連隊区司令部」に勤めていた筈谷千鶴子さん=海南市幡川=がひそかに保管していたもので、このほど同館が寄贈を受けた。実物が展示されるのは全国的にも珍しい。
血書は敗戦後に全て焼却処分の命令が下され、残存しているものはほとんどなく、寺西館長も「初めて見た。戦争をメーンに扱う大きな博物館にもない。貴重な資料」と話すほどだ。
戦局が苛烈を極めた昭和19年ごろ、徴兵の年齢は19歳以上が望ましいとされたが、19歳未満の少年でも志願すれば兵役に就くことができた。当時、この志願書を自らの血で書くことがはやったといい、記録では相当数が連隊区司令部に寄せられたという。
今回展示する血書は、前田勝一と赤松茂樹の2少年が「志願したが不合格になった。しかし、どうしても国の役に立ちたい。立派な死に場所を得たい」という内容の文書を血で記した嘆願書になっている。血は水で薄めながら書かれたとみられる。
展示は約1カ月行う。血で書かれており、変色の恐れがあるため長くは展示できないという。寺西館長は「当時、少年たちは戦争にしか命を懸けることができなかった。そんな時代が二度と来ないことを願いながら展示します」と話している。月曜休館。入館料は一般400円、大高生200円、中小生150円。問い合わせは、同館(TEL073・423・0003)。
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