2011年08月14日

02.政治・経済

23年連続最高金賞! 田端酒造の「羅生門」

23年連続最高金賞を受賞した「羅生門」を手に長谷川社長㊧と山本さん - 23年連続最高金賞! 田端酒造の「羅生門」

23年連続最高金賞を受賞した「羅生門」を手に長谷川社長左と山本さん

食のノーベル賞とも称されるモンドセレクションで、田端酒造(株)(和歌山市木広町、長谷川香代社長)の「羅生門『龍寿』」がことしも最高金賞を受賞した。23年連続で最高金賞を受賞しているのは、世界中でも「羅生門」ただ一つ。黒澤明監督の映画「羅生門」のように、世界中の人に愛されるようにとの思いから名付けられた酒は、世界にその名をとどろかせる銘酒になった。さらにことしは創業160年。長谷川社長(62)と杜氏(とうじ)の山本浩伸さん(42)に、酒造りの今後にかける思いを聞いた。


今やモンドセレクションの常連となっている同社だが、受賞の知らせには、社員一同がほっと胸をなで下ろしたという。長谷川社長は「杜氏にはプレッシャーのようですが、目標は25年連続の受賞。皆さんにおいしく飲んでいただきたいという思いで、これからもいいものを届けていきたい」と話す。

同社が力を注ぐのは米や水、酵母まで和歌山産にこだわった酒造り。田端薫会長(87)の発案で、約20年以上前に始めた、パッケージ内に添えるはがき「お客様の声」には「羅生門」の神髄が詰まっている。「末永く、このお酒が飲めることを願っています」「初めて日本酒の本当のおいしさを知りました」全国から届く貴重な意見の一つひとつに、会長自ら目を通し、時には返事を書く。海外からメッセージが届くこともあり、分厚いファイルの束は数冊にもなった。長谷川社長は「いずれ私が受け継いでいく家宝」と話し、多くの従業員の励みになっている。

若い世代を中心にした酒離れの影響で、酒造業界を取り巻く環境は厳しい。同社でも特に20代後半から30代に、日本酒のおいしさを伝えられるような取り組みを模索しているという。そんな中、うれしいこともあった。昨年初めて、娘の聡子さん(29)がお酒を造ったこと。不安も大きかったが、評判も上々。同年代の女性に支持され「今では片腕になってくれ、頼もしい存在」と期待を寄せている。

「滴滴在心」をモットーにした酒造りを掲げ、味には絶対の自信を持つ同社。山本さんは「お客様の手に取ってもらえるような良いものを造り続けないと、残ってはいかない」と気を引き締める。「それは杜氏だけではできないこと。ラベルを貼る人や箱詰めをする人がいて一丸になって造り上げるからこそ、良いものが生まれるんです」。先代からの伝統を守りながら、田端酒造の国酒復権と世界への挑戦は続く。





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