|
|
原発被ばく労働者の現実を訴える樋口さん |
約40年間、 原発下請け労働者を取材してきたフォトジャーナリストの樋口健二さん(74) の講演会がこのほど、 和歌山市内であり、 約50人が参加。 樋口さんは、 これまで闇に消されてきた労働現場の実態を紹介し、 「原発被ばく労働者は、 闇から闇へ、 ぼろ雑巾のように捨てられた。 誰一人として本当のことを伝えてこなかった」 と訴えた。
市民団体 「原発がこわい女たちの会」が主催。 樋口さんは、 昭和52年に福井県の敦賀原発で定期点検をする労働者の姿を世界で初めて発表。 原発への告発に、 一部では 過激派 ともされてきたが、 福島原発事故後、 国内外から注目を浴びている。
放射線被害に苦しみ、 命を落とす被ばく労働者を目の当たりにしてきた樋口さんは、 「学者たちは、 よってたかって裁判つぶし。 マスコミや官僚たちは安全神話をつくって国民を洗脳してきた」 と批判。経済を最優先し、 日本の財閥が金儲けにまい進してきたことが問題であるとした。
また 「原発は差別の上に成り立っている」 とし、 電力会社の下請け、 孫請け、ひ孫受けなど何重もある差別構造の労働形態について言及。300種以上の雑役をする下請け労働者の存在があって初めて原発は動いていること、 そこには何の社会保障もなく、 現場では酸素ボンベを背負い、 宇宙人のような姿で、 アラームメーターが鳴りっぱなしの状態で作業しているなど、 過酷な実態を明かした。
大きな反響を呼んだ敦賀原発の炉心部で作業する労働者の写真や、 浴びた放射線を洗い流す裸の男性の写真、 被ばく線量の数値が改ざんされた放射線管理手帳の写真など、想像を絶する労働現場の実態を紹介。「今被ばくしている人たちは、 これまで僕が撮り続けてきた労働者たちの二の舞い。同じ苦しみを今後10年、 20年と味わわなければならない」 と放射能の恐怖を強く訴えた。
|
00.社会 - 同カテゴリの記事
|