2011年08月19日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

防除効果を確認 飛ばないテントウムシ

飛ばないテントウムシ (ナミテントウ)

アブラムシ防除に期待される飛ばないテントウムシ

紀の川市貴志川町井ノ口の県農業試験場 (神藤宏場長) はこのほど、 飛ばないテントウムシ (ナミテントウ) を使ってシシトウの害虫アブラムシを防除する実証試験を行い、 アブラムシの発生を抑える効果を確認した。 飛ばないテントウムシは現在、 農薬登録取得のための手続きが進められており、3~4年後には販売が実現する予定だ。

アブラムシの害は、 作物の汁を吸うことで生育が悪くなったり、排泄物を栄養に菌が繁殖する 「すす病」 が発生したりする。 テントウムシはアブラムシの天敵として一般的に知られているが、 通常のテントウムシでは、 畑に放してもすぐに飛んで逃げてしまう問題があった。

「飛ばないテントウムシ」 は遺伝的に飛ぶ能力が低いもの同士で交配を繰り返し、 飛ばなくしたもの。 近年、近畿中国四国農業研究センターが開発した。

同試験場は昨年、 アブラムシの発生が始まる5月下旬、 シシトウ畑に1株あたり3匹の飛ばないテントウムシを放した。 その後1カ月間、 ほぼアブラムシをゼロに抑えることができたという。 無処理のシシトウでは、 同期間で1株に1万匹以上の発生が確認された。飛ばないテントウムシが実用販売されれば、環境保全型農業の推進や、 農薬散布の回数削減、 農家の作業軽減などの効果が期待される。 飛ばないナミテントウが通常のナミテントウと交配した場合、劣性遺伝は薄くなり飛ぶようになるので、 生態系に影響はないという。 実証試験に関わった同センターの主任研究員、 井口雅裕さん (44) は 「国に登録が認められれば、 防害虫に有効な一つの手段として、他の防除方法ともうまく合わせながら使っていくことを農家に提案したい」 と話している。





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