2011年08月19日

00.社会

難病「中條―西村症候群」の原因解明

難病「中條―西村症候群」の原因解明

米国の科学雑誌に掲載される論文と金澤さん

県立医大医学部皮膚科講師の金澤伸雄さん(41)を含む研究班が日本特有の難病 「中條―西村症候群」 の原因遺伝子を発見した。 凍瘡(とうそう)のような紅斑や周期性発熱などを伴う同症候群は、 昭和14年に日本で初めて報告され、 72年の時を経て原因が解明された。 これにより、 他の難病発症のメカニズム解明にも光が差し、 新しい薬の開発も期待されるという。

同症候群は、 初めて症状を報告した東北帝國大学医学部の中條敦さん、 次いで報告した県立医大皮膚科の初代教授、 西村長應さんの名前を取って名付けられた。 これまでに28例の症例が報告され、 関西地方に患者が多く県内在住者が3割強を占める。

生まれてすぐに発症し、 30~40代で亡くなるなど早死にするケースもあるという。 家系内発症が多いため遺伝的な原因が想定されていながら、 有効な治療法はなかった。

疾患名も定まっていなかった6年前、 同症候群の患者を診ていた金澤さんは、 不明熱という別の側面から同症候群に関わっていた久留米大医学部の井田弘明准教授と出会い、 研究を連携することに。 遺伝的な原因が考えられることから、 長崎大学大学院で人類遺伝学を専門にする吉浦孝一郎教授の手も借り、 研究班を構成した。

平成21年度には、 厚生労働省の補助金難治性疾患克服研究事業の177疾患の一つに採択されたことから同疾患名を付け、 専門分野で役割分担し、 原因解明にいそしんできた。 金澤さんは、 同大学で診察した患者の了解を得て、 血液など研究のための資料を集めた。

その結果、 細胞内のたんぱく質を分解する複合体となる遺伝子の一つの変異が原因であることが分かった。 これにより、 同複合体の機能が低下することで慢性炎症を引き起こすことが明らかになり、 同症候群の治療法開発に有効になるという。

近く、 アメリカの科学雑誌に同研究の論文が掲載される予定で、 金澤さんは 「病気の原因が分かっても特効薬は見つからず、 治療についてはこれから。 他の難病のメカニズムの解明が進み、 新しい薬の開発にもつながるのでは」 と話している。





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