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新宮市南檜杖で救助活動を行う隊員ら(5日、 那賀消防提供) |
台風12号で甚大な被害が出た紀南地域へ派遣されていた岩出市中迫の那賀消防組合消防本部の救助隊が8日、 3日間の任務を終えて帰還した。 同隊は県下広域消防応援隊の一員として5人を現地に派遣した。 現地では救助活動の他、 自治体も把握できていない孤立集落の安否確認を行った。 同本部中署1班救助係長の小林秀次隊長(49)に話を聞いた。
雨が強く降り続いた4日深夜に出発、 新宮市消防本部を目指した。 往路で走った海岸沿いは被害が少なかった。
5日早朝、 活動拠点の同本部に集合。 指揮を受け4人が生き埋めとなった同市南檜杖で救助活動を開始した。 一日で3人の遺体を発見した。
2日目の6日午前5時半、 同隊は同市から西へ15キロの山中に位置する小口地区に向けて出発。 現場の道路が山の土砂で寸断されていたため、 自衛隊のヘリで入山した。 現場は、 固定電話も携帯電話もつながらない状態。 同隊は在宅療法で酸素ボンベが必要な孤立した患者を発見。 隊員が防災ヘリに要請し、 当面生活できるボンベ12本を手渡し命を救った。
任務最終日の7日、 那智勝浦町の山中にある孤立集落の安否確認のため出発した。 道路の上に覆いかぶさった土砂と岩の上を歩き、 3キロ先の孤立集落に向かった。 同日午後0時半、 87歳の女性生存者を発見。 防災ヘリで下山するよう指示したが拒んだため、 隊員らは担架に女性を乗せ歩いて下山した。 その後も疲れた体にむちを打ち同現場での任務に戻った。
小林隊長は「孤立していた70代の夫婦が、 山の水をためたペットボトルを見せて 『この水を飲んで活動してください。 皆さんが活動を終えるまで下山しません』 と言ってくれた。 胸が熱くなりました」と振り返った。 また今後の課題として、「復興まで2~3年は必要。 現場はまだまだマンパワーが足りません。 ボランティアなど長期的な支援が必要です」と話した。
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