2011年10月03日

00.社会

中央コミセンで「かっこちゃん」講演

山元加津子さん

柔らかな声で語り掛けた山元さん

石川県の特別支援学校の教諭、 山元加津子さん (54) が2日、 和歌山市中央コミュニティセンター (同市三沢町) で 「いつかいい日のために~」 と題し講演した。 山元さんは、 障害児と共著した詩集で話題を呼び、 全国で講演会を開催。 「かっこちゃん」 の愛称で親しまれている。 県内の山元さんのファンが集まるサークル 「あるん」 が主催し、 約80人が耳を傾けた。

山元さんは、 特別支援学校の同僚だった男性が平成21年2月に 「脳幹出血」 で倒れ、 その後に起きた奇跡のような出来事を振り返った。

発病を知った山元さんは、 学校が終わってから毎日男性の元へ駆け付けたという。 医者からは、 余命数日か、生きながらえても意識は戻らないと宣告されたが、「でも私は、 大丈夫だという気がしてならなかったんです」 と断言。病床で、 男性の体につなげられた医療用の管を握り、「生きて、生きて」と祈りを込めたという。 支援学校で子どもたちを指導する中で 「どんなに重い障害があっても、 みんな思いを持っていることを、 子どもたちから学んでいた」 とし、 男性の思いを引き出そうと、 文字盤を触ってモニターに映し出す 「意思伝達装置」 を使ったことを紹介。 少しずつ指が動くようになった男性は 「なんでもないひがしあわせだった」 「まんげつをぼくはきれいといえるぞ」 と涙ながらに伝えたという。

一時は生命の危機だった男性は現在、 以前は座れなかった車いすに座ることができ、 ご飯を食べられるまで回復したとし、 「たった一人でも、 自分の未来を信じてくれる人がいれば、 人は生きていける」 と呼び掛けた。 訪れた観衆の中には涙をぬぐう姿も見られた。

あるんの一員、 杉本衣里さん (29) は 「かっこちゃんの 『人が大好き』 という気持ちは、 忙しい毎日で忘れがちだけど大切なこと。 多くの人が平等に価値があるのだと感じてもらえれば」 と話していた。





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