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寄託された漂流記『異国物語』や『環海異聞』の写本など |
川合小梅の子孫が県立文書館(和歌山市西高松)に寄託した小梅筆の写本28冊が4月から、マイクロフィルム化され冊子化された形で公開される。また、その中の『雑記』9冊が展示されている。同館の須山高明主任は、「小梅が無類の記録魔であったことはよく知られていますが、日記以外のものがあることはあまり知られていません。皆さんに広く利用していただきたい」と話している。
幕末から明治の約70年間、小梅が世相や生活を書きつづった『小梅日記』は、約40年前に小梅のひ孫志賀裕春さんが県に寄贈。現在県立図書館に14冊が収蔵されている。今回の28冊は、志賀さんが死の直前に長女の雑村悦子さん(86)=吹田市=に託し、雑村さんが昨年末、小梅日記を楽しむ会を通じて文書館に寄託。「志賀裕春氏旧蔵資料」と名付けられた。
『雑記』は日記の下書きともとれるもので、『近代世事談』からの抜き書きや『里見八犬伝』(部分)の写し、絵画に関する写しなどさまざま。注目は伊達千広などの粛正関係記事で、粛正時にささやかれた噂や俗謡などがほぼ一冊分記され、この事件への小梅の並々ならぬ関心がうかがえるという。
ほか、周参見浦出身の沖船頭善助が天保12年(1841)に120日間漂流、救助されてメキシコ領カリフォルニア半島などで暮らした聞き書き『異国物語』の写本。1793年に仙台若宮丸の乗組員が漂流し、ロシア船に救助されて日本人として初めて世界一周した記録『環海異聞』の写本もあり、小梅の関心が国内にとどまらなかったことを物語っている。
『雑記』9冊は5月14日まで展示され、順次展示替えしていく予定。また閲覧は1日からの予定でコピー(白黒)も可能という。
詳しい問い合わせは県立文書館(073・436・9540)。
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