2009年07月18日

00.社会

卒業後も33年間自主的に

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刊行されたばかりの論文集を手にする安藤名誉教授と会員

大学卒業後もゼミナール関係者が和歌山に集い、 33年間で開いた例会は155回、 という全国でも珍しい研究会がある。 近世史を専門とする安藤精一和歌山大学名誉教授 (87) の安藤研究会だ。 会員14人による記念の論文集 『近世近代の歴史と社会』 もこのほど清文堂出版から刊行され、 安藤名誉教授は 「うれしいことです。 学問の世界は真剣勝負。 自由な立場で研究し対等に批評し合うのがここのいいところです」 と話している。

同研究会は昭和51年1月の発足。 当時同大学経済学部教授だった安藤名誉教授から、 歴史研究や社会経済史研究の面白さと重要さを学び、 研究者の道に進んだ卒業生十数人が始めた。

同書の編集を安藤名誉教授とともに務めた会員の高嶋雅明四天王寺大学教授と天野雅敏神戸大学大学院教授は、 同研究会を 「完成直前の論文を報告するほか、 アイデアを提示し、 史料の理解と解釈をめぐる衆知を求める機会でもあり、 先生と門下生、 先輩と後輩の関係を超えて自由に意見交換できるところ」 「修練の場」 とあとがきに記す。

同書は同研究会2冊目の論文集で、 敗戦後にいち早く 地域差 に注目した安藤名誉教授の最新研究 「青年会の成立と展開―和歌山県東牟婁郡古座川町の場合」 をはじめ、 会員の 「アメリカ国民経済の形成」 「戦前における日本商社の豪州進出について」 「ヴィクトリア時代の魚類の大衆的消費と魚市場」 などを収録。

日・英・米にわたり理念と政策、 経済と社会、 経営、 市場の各方面の近世近代史研究に多様な新視角を提示しており、 広島大学大学院の河西英通教授は 「『安藤研究会』 の楽しさと凄まじさが迫ってくる」 と言葉を寄せている。

先日、和歌山市の県民文化会館で開かれた155回例会には、 県内外から9会員が参加し、 安藤名誉教授と天野教授、 原田政美福井県立大学教授が報告した。 安藤名誉教授は 「みんな僕より偉くなった」 とほほ笑みながら、 今後の研究について熱く語り合った。



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