3人が連携し人命救助 海南市消防が感謝状

和歌山県海南市重根西のJAながみねとれたて広場の駐車場内で倒れ、心肺停止となった73歳の男性の人命救助に尽力したとして海南市消防本部は11日、岩出市の中家弥生さん(59)と紀の川市の坂下幸恵さん(38)親子、同店の樋瀬貴哉店長(47)に感謝状を贈った。

3人や同市消防本部によると8月14日午前10時20分ごろ、車で同店を訪れた中家さんと坂下さん親子は、駐車場をふらふらと歩いていた73歳の男性が崩れるように倒れたのを目撃。すぐに男性の元に駆け寄り、声を掛けたが反応はなかった。その後、男性の呼吸は止まり、心肺停止状態に。娘の坂下さんが119番通報し、母の中家さんが手早く心臓マッサージを開始した。2人の様子に気が付いた樋瀬店長がAED(自動体外式除細動器)を使うと、男性の心拍は再開。その間、中家さんは男性が呼吸しやすいように気道を確保していた。通報から8分後、救急車が到着した頃には、止まっていた男性の呼吸も安定していたという。

中家さんと坂下さん親子は共にケアマネージャー。また母の中家さんは、准看護師の資格を持ち、過去に病院で勤務していた経験もある。

樋瀬店長はスポーツ少年団の指導者講習やJAが行った普通救命講習を受けており、AEDの使い方を熟知していた。救命の心得のある3人が連携し、早期に発見、通報、そして処置できたことが今回の人命救助につながったという。

中家さんは「無意識に体が動いていた」と当時を振り返り、「ただただ助かってほしいという思いで必死だった」と話す。坂下さんは「男性が助かったと聞いて本当に良かった」と安堵(あんど)。樋瀬店長は「無我夢中。講習で学んだことが役に立った」と笑顔で話していた。

同日、同市消防本部で表彰式が行われ、山田量也消防長が「迅速かつ適切な勇気ある行動に敬意を表すとともに深く感謝する」と述べ、3人に感謝状を贈呈。また、坂下さんからの通報を受け、救急車が到着するまでの間、救命指導や救急車の位置を伝え続けた和歌山広域消防指令センターの町田賢次消防司令補に、和歌山市・那賀消防組合・海南市及び紀美野町消防通信指令事務協議会職員表彰が贈られた。

町田消防司令補は「一緒に助けたいという気持ちで声を掛けている。皆さんと心一つにして助けられたことは、通信指令員としてもうれしいこと」と話した。

表彰を受けた(右から)町田消防司令補、樋瀬さん、坂下さん、中家さんと山田消防長

表彰を受けた(右から)町田消防司令補、樋瀬さん、坂下さん、中家さんと山田消防長

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