紀南方面でボーズを食らったとき、悔しさを胸に秘めながら立ち寄れるお店がある。田辺市朝来の国道42号沿いにあるVショップ内の魚屋だ。
目印はこれ。
この、釣り人の傷口に塩を塗るような挑発的な看板の店内に入ると、この時期、夕方以降ならあの「もちガツオ」と「もちヨコワ」が手に入る。
店内はこんな感じでかなり楽しい。
さらにこの店の店主のお兄さん(おっちゃんと呼ぶと怒られる)が輪をかけて楽しい。カツオをさばく早さは宇宙一らしく、すさみ町の第1回「ケンケン鰹早下ろし大会」でチャンピオンとなったという。よく分からないが、その筋によると輝かしい経歴の持ち主のよう。ちなみに今は選手側を卒業し、大会審査員にまでのし上がっている。
このお兄さんは、とにかくしゃべる。さらに、いろいろと商品をまけてくれる。挙げ句の果てには「あんた、和歌山まで帰るんやったら、この魚、取引先まで届けてくれへんかな?」と配送を依頼される。名前すら知らない人なのに。持ち逃げされるという感覚は完全に欠如している。ちなみに過去2回依頼されたが、2回とも時間的に無理なので断った。
「もちガツオ」は新鮮さが命。時間が経つと「もちもち」しなくなる。刺身のパックを買ったとき、お兄さんに「持ち帰りかかる時間はどれぐらいなら大丈夫?」と質問すると「早いほうがええ!」と、アバウトなくせにきっぱりと答えた。仕方がないので、店でしょうゆを買って帰り道で食べると言うと「えらい!」とみのもんたばりに思いっきり褒めてくれた。
ちなみにこのVショップ朝来店、ウリは魚だけでなく「キャベツ5玉で150円」や「ハッサク20玉で200円」など、「ここは日本か?」と目を疑うような価格設定の札が並んでいる。田舎ならではの人情味たっぷりのお兄さんはもちろん、家計にもこれでもかというぐらいに優しいこのお店、一度足を運んでみては?