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魁!物欲部
2009年03月31日
カシオ リストカメラ WQV-1 (2220-JA)


 デジタルガジェット好きにとって、カシオは特別な存在と言えます。70年代初頭、手のひらサイズの電卓を世界で初めて1万円台で開発・発売したというエポックからその伝説は始まり、これまた1万円台で売り出しマニアの度肝を抜いた8ビットパソコン、電卓付腕時計、そうそうデジタル腕時計の価格を一気に下げたのも、デジカメを庶民が手の届く価格に引き下げたのも同社でした。最近ではショックレジストの時計や携帯電話、めちゃ薄かったりむやみに連写できるデジカメなど、他社と同じものを出すとき機能か価格で何かを必ず仕掛けてくる、思わず「ほーそうきたか」と言わされるメーカー。そんなカシオから我々は常に眼が離せないのです。

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 いつも何かをブレイクスルーし続けるカシオですが、そんなだから実は「早すぎた存在」という存在の商品も少なくなかったりします。本日紹介するリストカメラ「WQV-1」も、私が思うに多分そんなガジェットなのであります。

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 2000年発売、世界で初めて腕時計サイズにデジタルカメラを仕込んだ!これがこの商品の売りです。同社がデジカメ界に風穴を開けた名機「QV-10」の流れを汲むネーミングが泣かせます。
 白黒液晶モニターをフェイス全面に採用、1MBのメモリを搭載しており、最大100枚の写真を撮影保存できます。外部接続インターフェイスは赤外線ですがIrDA規格でないため、ノートPCや携帯電話の赤外線ポートとは(たぶん)通信不可能。接続キットも今となっては入手はほぼムリです。しかし、昔あったWindowsCEのカシオ製PDA(カシオペアとか)とかならリンクできます。私はG-FORTで吸い出しました。これなら今でもたぶん捨て値で入手可能。

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 フェイスの12時方向側面にレンズがついていて、比較的無理のないポーズで撮影可能。思いきり気取ってチェキット。ちなみにシャッター時の音は鳴りません。
 レンズはF2.8固定、f=1.1mm。撮像素子は1/14白黒CMOSの2万8000画素。撮影できる写真は120x120ドット16階調。計算すると、一辺1ミリちょいの正方形撮像素子。一辺5ミリに1000万画素を詰め込むイマドキに比べりゃあショボイですが、当時はがむしゃらだったんですね。こちら参考

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 実際の撮影画像。何気に結構ちゃんと写ります。画質についてはどうこう言ってもしゃあない。通常撮影のほかに、白黒2値で撮影する劇画撮影モードや、半分ずつ合成するツーショット撮影モードなんてのもあります。使ったことありませんが。手軽に撮れる、って部分を評価したいものです。
 しかしこのカメラ、実はトンダイッパイクワセ物でして、撮影モードは連続1分以内という制限時間付。しかもモード終了後、撮影に費やした時間分、時計表示からカメラを再起動できない。撮像素子のクールダウンでもしてるんでしょうか。これじゃあなた、シャッターチャンスもくそもないっすよ。本来なら発売をも見合わすかもという欠点さえ、ミレニアムイヤーのカシオは乗り越えてしまったわけであります。

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 時計としてもちゃんとしてます。画像プレビュー、アラーム、タイマー、ストップウオッチなどがモード切替により使用可能です。

 昔は皆、テレビや無線機、カメラ、ミサイルまでもがリストウオッチに融合する未来を夢に描いていました。しかし、その「万能ガジェット」の地位に就いたのは実際は携帯電話でした。カシオも現在は携帯電話の開発に力を入れており、今後リストウオッチが万能ガジェットに進化することはなさそうな雰囲気。どちらが正統進化だったのかはもう誰にも分かりませんが、私のようなオールドタイプは少し寂しい気がしないでもないという。そんなちょっと甘酸っぱい思いを掘り起こしてくれる、いにしえの一品なのであります。
<たおまさ>

カシオのニュースリリースページ
http://www.casio.co.jp/release/old/wqv_1_wmp_1v.html


2009年03月31日 16:00


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