銀幕への招待状web版
前作「レッドクリフpart1」が赤壁の闘いの直前で終わった肩すかし感を胸に、白い鳩の行く先を見つめると…おう今度は確かに胸躍る戦乱の活劇が始まった。というわけで「レッドクリフpartⅡ」を観る。三国志演義が原作というから当然史実とは違うのだけど、曹操が徹底的な悪者に描かれているのが印象的だ。女性への狂信的な思いが理由で国を賭けた戦を仕掛けるというのだからスケールがでかい。が結局、その女性の知恵で足下をすくわれるのだから、巻き込まれて戦う男達の無念やいかに。対する孔明は、戦場においても涼やかでいつも洗い立ての衣服を着用しているのが心憎い。気候の変化で戦況ををつかんだり、頓知を効かせた奇策で敵から矢をいただいたりといった伝奇らしい話がゾクゾクと出てくる前半はユーモラスな作り。後半に入ってからは胸躍るチャンバラが続く。さすがにジョン・ウー監督も銃弾を使わないアクションは難しいだろうと思うのが素人の先入観。弓矢と肉弾戦で見事に見せてくれた。銃弾の代わりに炎をふんだんに使った殺陣は他の追随を許さない迫力だ。もちろんジョン・ウー監督の象徴とも言うべき白い鳩は重要な役割を果たす。
ところで、身を挺して曹操に会いに行く小喬、スパイとなって曹操軍に潜入する男装の尚香。連合軍の女性たちが、いとも「軽々」と敵陣に飛び込んでゆくのは、寓話とはいえちょいとリアリティにかけるような気がするのだが。