35年前、初めて見た立体映画が「3Dポルノ淫夢」。高校卒業間際の洋ピン初体験でもあった。「おっぱいが飛び出るで」「●●●が××××するのが見れるかな」などと妄想しながら友人たちといざ映画館へ。両眼が赤と青のレンズになってい眼鏡をつけて、画面を見ると「なるほど立体映画!」だった。しかし、目が疲れるというか10分くらいで眼鏡を放り出し、微妙ににじんだ画面を見続けた無惨な記憶がある。そんなトラウマが、進化した「3D」を拒んで、「アバター」を通常版で見ることになる。
「風の谷のナウシカ」に激似との評もあるが、ジェームス・キャメロン自身が宮崎アニメが大好きということで、それもOKとしよう。というか、非常にわかりやすい図式の単純な映画だった。文明と自然、侵略と防御、重火器と弓矢…。考えられる限りの対立する事象をステレオタイプに描いて2時間40分を飽きさせないで見せる。もう少し深みのある構造が好きな人は退屈でたまらないだろうが、万人受けするように作られたエンターテインメントとしては上出来だ。異文化を持つふたつの種族が恋におちるというのも、ありがちな設定だが、これもお約束として許してしまおう。むしろ、これもまた最大公約数の人が喜ぶ大きな要因の一つといえる。
ただ、少し違和感を感じたのがナヴィ族の生態。人間より背が高くしなやかな体を持っているのはわかった。動物たちと気を合わせて操るメカニズムもパンドラ星の自然への依存を考えれば良く分かる。動物を殺して食べるという行為を匂わせる場面はわずかにあったが具体的に「食べる」場面がなかった。食べるシーンのない映画なんてめったにないと思う。なくてもいい映画もあるが、異文化が対立するというテーマの映画で、これはちょっとまずいような気がする。人間とどう違うのか。その根本的な部分にリアリティは最低限、必要だったように思う。
そんなわけで、一部を除いて満足度の非常に高い映画だった。3D版を見た相方によると、2時間40分見ていてもほとんど目が疲れることはなかったという。むしろ、森の中の飛行シーンなど凄い臨場感だったという。「淫夢」の呪いを振り切って、今度は進化した3Dを体験してみよう。