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2011年02月10日
映画に愛をこめて アメリカの夜 ~午前十時の映画祭~



午前十時の映画祭 第2週
公開:2011/02/12(土)~2011/02/18(金)

 「アメリカの夜」(英語でDay for Night)という撮影方法があります。カメラにフィルターをかけたり露出を変えたりして、昼間に夜の雰囲気を作り出し撮影する手法で、ハリウッドから広まったためこう呼ばれています。太陽光が月の光のように見えるので満月の夜っぽくなります。最近ではフィルムの感度が上がったり、デジタル撮影なら後で自由に編集できるので、この方式が使われることは少なくなったんだそうですが。

 さて、今回の「映画に愛をこめて アメリカの夜」ですが、フランソワ・トリュフォー監督が、一癖も二癖もあるキャストやスタッフを抱えて臨む映画撮影の裏舞台の悲喜こもごもを描いた傑作ドラマです。

 劇中劇『パメラを紹介します』の父親と息子の嫁が駆け落ちしてしまうストーリーはともかく、勝手にくっついたり別れたりする男女キャストやスタッフ、アル中で全くセリフを覚えない大御所、モーホーの大物ナイスグレーなどなど、とにかく出演者達がわがままし放題で撮影はトラブル続き。「君らゆとりか!」とボクなら叫んでしまいそうな現場で、しかしトリュフォー自身が演じる監督を困らせまくりかといえばそうでもないようで、続々と持ち込まれる問題を右に左に受け流しながら淡々とシーンをこなしていくのでありました。

 映像の端々に盛り込まれたトリュフォーの「映画愛」はさすがです。このシーンはこうやって撮るんですよ、こんな小道具も使ってます、みたいな楽屋ネタがちりばめられており非常に楽しい。そして古いフランス映画に対して多くの人が持っている「ダルで分かりにくい」感もこの作品に関しては皆無で、非常にテンポ良く物語は進行します。爆笑シーンも満載。古い映画ファンなら周知のエピソードも多数盛り込まれており、そこらへんはwikipediaに非常に詳しく掲載されております。

 また、作中には数々の映画に関する名言・名フレーズも盛り込まれています。ボクが一番残っているのは「映画の撮影は、いわば西部の駅馬車の旅に似ている。美しい夢に溢れた旅を期待して出発するが、すぐ期待は失せ、目的地に到達できるかどうかさえ心配になってくる」かな(笑)。映画制作に限らずあらゆる事にいえるんじゃないでしょうか。

 そしてやたら短いエンドロール。これほどまでに多くの人が出演しているのに。その突き放した感がツンデレでたまりません。

 まじで映画っていいものです。ぜひジストシネマ和歌山に足をお運び下さい。


※『午前10時の映画祭』という特集タイトルですけれども、午前10時に一回だけ上映、という事ではないよう。上映スケジュールは要チェックですね。

(田尾誠之)

■映画に愛をこめて アメリカの夜
伊/仏
1974
原題:La Nuit américaine (Day for Night)ドラマ 116分
ヨーロッパビスタ
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:フランソワ・トリュフォー ジャクリーン・ビセット

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午前十時の映画祭~何度見てもすごい50本
上映スケジュール


ジストシネマ和歌山
和歌山県和歌山市松江向鵜ノ島1469-1 TEL:073-480-5800
映画館情報(Movie Walker)




2011年02月10日 22:45


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