staffblog_title.gif
 スタッフ総出で綴ります
« ヤギと私と私の壁と | メイン | おみせやさん »

[]
2011年02月18日
刑事ジョン・ブック/目撃者 - 午前十時の映画祭 第3週


刑事ジョン・ブック/目撃者

午前十時の映画祭
午前十時の映画祭 第3週
公開:2011/02/19(土)~2011/02/25(金)

 いやはや、私が記憶していた内容とだいぶん違いました。刑事ものサスペンスをベースに、銃撃戦あり、ヒューマニズムあり、ラブありの、非常に良くできた、ハリソン・フォードの魅力てんこ盛り作品なのであります。タイトルを見ればシリーズもののようにも見えますが、これは日本公開時に国内配給元が勝手に付けたもののようらしく(原題は「WITNESS」=目撃者)、ジョン・ブック刑事が活躍する作品はこれ一作限り。まあ、シリーズ展開を予感させるほどの良作だと言えるわけで、ボク個人的にも、彼の活躍をまだまだ見たいと思えます。まだまだ行けるぞハリソン君。

 この映画のテーマは「異文化との接触」にあります。「トゥルーマン・ショー」「グリーン・カード」「いまを生きる」など、ピーター・ウィアー監督は「従来と違う価値観を目の当たりにした人がどうなるか」というテーマで作品を撮りつづけている監督なのです。まあ確かに人は従来と違う環境にポンと投げ込まれた時さまざまな反応をするものでありまして、初めは孤独感に苛まれながら、己のポジションを見いだした時には果たしてどこにいるのか、その時アイデンティティをキープし続けられるのか否か、そんな人間的葛藤はいつもドラマチックなものなのであります。はたして、アーミッシュの街で潜伏生活を送ることになった、暴力はびこる都会の刑事。彼はどう変わるのでしょうか、また、変わらないものは何でしょうか。そこがこの映画の見どころです。

 さて、「アーミッシュ」って何よ、という人も多いと思います。キリスト教プロテスタントの一派で、愛と平和を信条に文明と虚飾を嫌い、地域社会集団を形成して18世紀そのままの質素な生活を営んでいる人々のこと。アメリカ国内には彼らの村がいくつかあるようで、一般人には好奇の対象として見られているようです。

 この映画では、そんな、外からは時代錯誤で不合理な生活に見える、古めかしい規則に縛られたマイノリティーたちを、非常に温かな目で追っています。最初はよそ者扱いだったジョン刑事が次第に認められていく流れがとても微笑ましく、逆に、ああ、こんな生き方もありなのかなあと終には考えさせられてしまいます。未亡人とのプラトニックラヴも非常にいい。カーラジオから流れるオールディーズに合わせて2人で踊るシーンは、ハリソン君の魅力爆発なのでございます。

 ラストは武器の全否定。無垢な衆人達が「目撃者」となり、悪もついに観念するのでした。

 ほんとに映画って素晴らしいですね。ぜひジストシネマ和歌山に足をお運び下さい。


※『午前10時の映画祭』という特集タイトルですけれども、午前10時に一回だけ上映、というわけではありません。お仕事終わりに寄っても見ることができる上映回もありますので、スケジュールは要チェックなのでございます。

(田尾誠之)

■刑事ジョン・ブック/目撃者

1985
原題:WITNESSアクション/サスペンス 112分
ビスタ
監督:ピーター・ウィアー
出演:ハリソン・フォード ケリー・マクギリス

---
午前十時の映画祭~何度見てもすごい50本
上映スケジュール


ジストシネマ和歌山
和歌山県和歌山市松江向鵜ノ島1469-1 TEL:073-480-5800
映画館情報(Movie Walker)




2011年02月18日 07:30


shimpo_banner.jpg
わかやま新報は、和歌山市を中心とする和歌山県北部唯一の日刊新聞です。

Yahoo! JAPAN

  • ウェブ全体を検索
  • このサイト内を検索

最近のエントリー
atom

StaffBlog一覧

アーカイブ