午前十時の映画祭 第4週
公開:2011/02/26(土)~2011/03/04(金)
男女間におきまして、片方が、もう片方にとって仮住まいである事というのは、実はよくあることなんじゃないでしょうか。いや、結構、常にそうなのかもしれません。そして、一緒にいた時間が長かったからといって本物だったとは限らないし、短かったからウソだった、というのも違う。恋愛を失った跡には、ただ何日か、何カ月か、何年か、分からないけれども、同じ場所にいて同じ方向を向いていたという事実と、多少の気持ちが残ります。人が「追憶」する時、そんな事に思いをはせるものなんじゃないでしょうか。いいですね、恋愛って。
もとい。
同館の「午前十時の映画祭」シリーズで初めての純粋なラブ・ストーリー「追憶」の登場です。テーマ曲である「追憶のテーマ~THE WAY WE WERE」があまりにも有名な作品ですね。
歌うはバーブラ・ストライサンド。この作品の主演女優です。すなわちこの映画は、彼女による彼女のための映画といっても過言ではない。男前代表のロバート・レッドフォードも出てきますが、彼が添え物にしか見えないほど、当時の彼女には、女優としての凄みがあるのでした。
政治色濃い活動に精を出すストライサンドの姿もおもしろい。彼女はプライベートでも結構そんな感じらしく、ビル・クリントンの米大統領就任の立役者ともいわれていますし、アニメ「サウスパーク」にも、ポリティカルに口うるさいキャラとしてしばしば登場したりします。あ、「サウスパーク」は最近見始めたんですけれども。
さて内容ですが。学生運動に熱心な女とノンポリの男。学生時代、なんとなく惹かれあいながらも結ばれなかった2人が、 第二次大戦のさなかのバーで出会います。ああ、これが運命というものでしょうか、そこから2人は熱愛の末に結婚、子供まで授かりながら、最後は別の道を歩んで行ってしまうのでありました。足掛け20年ほどでしょうか、「愛さえあれば・・・」とは言うものの、この2人は心の底から愛し合っていながらも、別れを選択するのです。ああ、ザ・ウェイ・ウイ・アー。
愛と理想。この二つが共存できない矛盾に葛藤し、悩み、苦しみ、そして、これを乗り越えて未来に進もうとする姿に共感できるかどうかがこの作品のポイント。ああ、ボクは思いました。この映画はカップルでぜひ見てください。ぶっちゃけ、男性と女性では見方が分かれます。この作品では、先ほど説明しましたように、比較的に、ストライサンド側にバイアスがかかっております。観覧後、2人で喫茶店ででもケンケンガクガクしてください(笑)。
ラストシーン、町で偶然2人は出会い、ほんの短い会話をして、すぐに分かれます。ああ、これも多分、運命なのでしょう。彼女の髪型が人生のベクトルを表しています。
映画ってほんとに素晴らしいものですね。ぜひジストシネマ和歌山に足をお運び下さい。
※『午前10時の映画祭』という特集タイトルですが、午前10時に一回しか上映しないわけではありません。レイトショータイムの上映回もあったりしますので、スケジュールは要チェックなのです。
(田尾誠之)
■追憶 | |||
米 1974 | 原題: | THE WAY WE WERE | 恋愛/青春 119分 スコープ |
監督: | シドニー・ポラック | ||
出演: | バーブラ・ストライサンド ロバート・レッドフォード |
---
午前十時の映画祭~何度見てもすごい50本
上映スケジュール
ジストシネマ和歌山
和歌山県和歌山市松江向鵜ノ島1469-1 TEL:073-480-5800
映画館情報(Movie Walker)