午前十時の映画祭 第5週
公開:2011/03/05(土)~2011/03/11(金)
ラブストーリーをスクリーンで観る時に、このストーリーは「男の子向き」なのか「女の子向き」なのか、なんて考えることがしばしばあります。恋愛映画なんだから大概は「女の子向き」であろう事は理解しているつもりですし、「女性に受ける映画を上映すれば男は勝手に付いてくる」みたいなそんな話があるのも分かっております。だから女性が一緒の時は「なぜ女性はこれを喜ぶんだろーか」なんて思いながらも、観た後の喫茶店でどこを褒めるか考えながら、ニコニコ笑って観ることもありましたです。ああ、ありました。ありましたとも。
なぜ男は恋愛映画をおもしろく思えないかと考察しまするに、まず、感情移入しにくい、ってのがあります。映画になるような大恋愛を経験している男がこの世にどれだけいるんか、ってな事でもありますが、まず、恋愛映画に出てくる彼氏役の男優がたいてい男前すぎる。男前だから無理は通るし奇跡も起こる。ああ、んなわけないよ、みたいな、要するに僻み的なものですね。分かってます。
名匠ジェイムズ・アイヴォリーの名作「眺めのいい部屋」がいよいよ午前十時の映画祭に登場です。米アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を受賞した作品で、国内では1987年に公開、大ヒットとなりました。原作はE.M.フォスター。舞台は20世紀初頭、イギリスの良家の令嬢がイタリア・フィレンツェを訪れ、大人の女性へと目覚めてゆく姿を描きます。
せっかくの旅行の宿なのに、窓からの眺めが良くないわ!そんな上流階級らしいダダをこねるお嬢さんルーシーに、「ああ、僕らの部屋はいい眺めなので交換してあげますよ」と申し出る労働者ジョージ。朴訥を演じる男前のいきなりの登場に少々面食らいますが、ああ、恋とは突然訪れるものなのです。そのあとお嬢さんのピンチにこの男がいきなり助けに現れたり、有名なシーンである青い麦畑での熱いキスがあったりして、瞬間的に一気に燃え上がるお嬢さん。しかし英国風ヒエラルキーが邪魔をして、やっぱり私はこの人と一緒になるべきではないわと、本国でこれまたシュッとした男前セシルと婚約してしまう。何なんでしょう、ここらへんもやはり、この映画が女性のハートを掴んでしまう要点なのでしょうか。
やがて偶然が偶然を呼びルーシーはジョージと再会。なんだかんだで結局ルーシーはセシルとの婚約を解消し、やっぱジョージとフォーリンラブ。エンディングはやはりあの「眺めのいい部屋」で。窓をあけると、美しい風景が広がるのでした。どうなんだジョージ!同情せずにおれんぞセシル!勝手にやってろルーシー!
シーンの端々で細かく笑いを取りにきたり、シーン間にいちいちタイトルバックが出たりして、観ていて飽きが来ることはありませんが、これだけうねるストーリーをあくまでフラットに見せるツンデレ作品・・・女の子向きですね、この映画は(笑)。チ●チンポロリシーンも長すぎ!確信犯やろ!(笑)
映画ってほんとに素晴らしいものですね。ぜひジストシネマ和歌山に足をお運び下さい。
※『午前10時の映画祭』という特集タイトルですが、午前10時に一回しか上映しないわけではありません。レイトショータイムの上映回もあったりしますので、スケジュールは要チェックなのです。
(田尾誠之)
■眺めのいい部屋 | |||
英 1987 | 原題: | A ROOM WITH A VIEW | 恋愛/青春 117分 ヨーロッパビスタ |
監督: | ジェームズ・アイヴォリー | ||
出演: | ヘレナ・ボナム・カーター ジュリアン・サンズ |
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午前十時の映画祭~何度見てもすごい50本
上映スケジュール
ジストシネマ和歌山
和歌山県和歌山市松江向鵜ノ島1469-1 TEL:073-480-5800
映画館情報(Movie Walker)