午前十時の映画祭 第7週
公開:2011/03/19(土)~2011/03/25(金)
人とのコミュニケーション手段というものは、インターネットなどの発達によって一気に増えたような感じがします。mixi、twitter、今最も旬なものといえばfacebookでしょうか。そしてそれらは、人同士の繋がりをあからさまに自覚させるものでもありまして、いつも繋がっているなと思える反面、逆に、お互いをいつも観察し合っているような、そんな感覚に襲われることがたまにあったりします。そんなだから、自他分離に未達なメンタリティの持ち主の人にとってはなかなかに利用が難しく、まるでそれが人付き合いの取捨選択そのものであるような錯覚に陥ることも多いようです。
「隣の芝は青く見える」なんて言葉が示すように、近隣の人々のプライバシーは、常に興味の対象であり、私のような性格の悪い人間には「最高のエンタテインメント」足りえる物だと思えたりします。そして、人のプライバシーには必ずある「立ち入り禁止領域」、それこそが「その人の本質」を示す物なのかもしれません。まあ「どこを隠すか」を常にこっそり観察している私はやはり、相当に悪い人間なのでしょう。その代わり、人付き合いをしくじる事もあまりありませんけれども。
今週は、ヒッチコックの「裏窓」であります。ヒッチコックといえばこの作品、というくらいの超有名作でありますけれども、まあ、これを見ればなぜヒッチコックはスゴいと言われるのかがよく分かります。未見の人はぜひ見ておくべきでしょう。
主人公はカメラマンのジェフ。事故で足を骨折し車椅子生活をしていますが、そんな彼の楽しみは、裏窓から見る隣のアパートの住人達の人間模様の観察。時に仕事道具のカメラの望遠レンズを使って覗いたりして、ぶっちゃけもうギリギリです。彼の恋人がグレース・ケリー演じるリザ。これが、ものすごい美人であります。
で、皆さんの予想通り、見なくていい物を見てしまい、これは殺人でしょうと盛り上がる。警察にも連絡したりなんかして、どこまで思いこみの激しい人達なんだと。
映画は、裏窓から周りを覗くジェフ目線の映像で進行します。カメラがほとんどその部屋から出ずに物語を展開させるという、実験的な演出。その分、思いっきり感情移入してしまうというか、最初はこんな奴どうよ、と思っていた観客も、だんだん主人公と同じ思考になってくる感覚が非常に面白い。ストーリーテリングもスピーディーで、さすがヒッチコックといったところでしょう。オチは両足骨折してしまいますが、見事な着地なのでありました。
映画ってほんとに素晴らしいものですね。ぜひジストシネマ和歌山に足をお運び下さい。
※『午前10時の映画祭』という特集タイトルですが、午前10時に一回しか上映しないわけではありません。レイトショータイムの上映回もあったりしますので、スケジュールは要チェックなのです。
(田尾誠之)
■裏窓 | |||
米 1955 | 原題: | REAR WINDOW | サスペンス 115分 ヨーロッパビスタ |
監督: | アルフレッド・ヒッチコック | ||
出演: | ジェームズ・スチュワート グレース・ケリー |
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午前十時の映画祭~何度見てもすごい50本
上映スケジュール
ジストシネマ和歌山
和歌山県和歌山市松江向鵜ノ島1469-1 TEL:073-480-5800
映画館情報(Movie Walker)