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華!アフターファイ部
2011年05月20日
黒江ぬりもの館


 黒江は紀州漆器の町。会津塗(福島県)山中塗・輪島塗(石川県)などと共に全国産大産地の一つ。江戸初期、漆塗りの技術を持った根来寺の僧がここに住み着き、住民にその技術を伝えたことが始まりといわれています。


 そんな黒江の古い町並みの一画にある漆器の直売店が、閉まることになりました。築150年にもなるこの店のたたずまいは当時の面影を随所に残しており、閉店することで取り壊されることを心配した地元の有志たちで店を存続させることになりました。それが「ぬりもの館」の始まりです。

大八車が目印

黒が基調の外観


 建物を任された有志たち。「お茶を飲める所がないのでカフェをしたい」という思いがありましたが、元々が漆器屋さんだったためキッチンもなく、壁などもやり変えなくてはなりませんでした。もちろん、棚や食器などもありません。「伝統のある屋敷を壊したくない。黒江の町をもっと盛り上げたい」。その一心から、有志たちは大工さんの知り合いに頼んだり、必要品はみんなが家庭から持ち寄ったりと、みんなの情熱を結集することでスタートしたのです。


落ち着いた店内


 写真が上手な人はメニューの写真を撮り、書道家の知り合いがいる有志はメニューや、壁のオブジェの字を書いてもらったり。またメニュー自体もお菓子作りに秀でた有志が製作、大工さんのボランティアも大活躍しました。スタッフは約20人いますが、全員が無報酬で運営しています。

低いテーブルは、足が継ぎたされていすに座れるように
大工さんの心遣い


 昨年6月、海南市内の作業所から「ケーキが作れるので使ってほしい」という申し出がありました。黒江スイーツの始まりです。有志の「黒江なんだから黒いスイーツで売っていきたい」というアイデアから、紀州備長炭をパウダーにしたものを練り込んだ真っ黒なスイーツを考案。最初に登場したのが黒いバウムクーヘン「黒江バウム」でした。


スイーツセット

パンセット

パン単品とコーヒー


 以後、パウンドケーキやクッキーなど黒江スイーツが続々登場。材料も「紀州うめたまご」や地酒黒牛の酒かすを使用するなど、地元の材料にもこだわりました。

 有志が「こういうものを作ってほしい」と作業所に要望。作業所の施設利用者が心を込めてしっかりと作っているため、素材の味がきっちりと生かされた優しい仕上がりとなっています。作業所が作った商品は「ぬりもの館」がすべて買い取っているため、売れれば売れるほど、作業所の施設利用者の報酬単価が上がります。

ひな人形

身代わりのサルも 


 お店は奈良町を彷彿させるたたずまい。落ち着けると近所の常連さんも日に日に増え、おばあさんのお客は「何もできないから来ることで貢献します」とにっこり。また、注文を聞いたりちょっとした手伝いをしてくれるお客さんもいるとか。家賃や駐車場代などの捻出はたいへんです。マイナスからのスタートでしたが、今ではこうした人の温かさに支えられ、運営できているお店です。


池原さんと前さん。もう一人の木山さんとともに常連トリオだとか


代表を務める角野牧子さん


黒江ぬりもの館
海南市黒江680
TEL/FAX 073.482.5311
10:00~16:00
月・火曜定休


2011年05月20日 17:32


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