“火中の栗”拾う気概 国難時のリーダーの条件とは

阪口 直人

 民主党代表選挙は8月29日に行われます。 総理大臣を選ぶ選挙に臨み、 今回は私なりのリーダー論、 国難におけるリーダーの条件について書こうと思います。

 1 あえて困難の中に飛び込む勇気があること
 今回、 前原誠司前外相が立候補したことには、 私にとっては衝撃でした。 前原さんには本格政権を担う切り札としての準備に専念して頂きたいと思っていましたし、 様々な言動から今回は立候補しないと確信し、 8月10日に馬淵澄夫前国土交通大臣の推薦人になることを約束していたからです。 しかし、 あえて火中の栗を拾う気概は、 国難におけるリーダーに必要不可欠な素養と、 深く感動しました。
 困難に飛び込む勇気といえば、 個人的な親交がある人としては、 東ティモールのシャナナ・グスマン初代大統領 (現首相) が浮かびます。 2002年2月に、 彼と同じチームでカンボジアの地方選挙を支援する活動を行い、 その2カ月後には、 私は国際選挙監視団の団長として彼の大統領選挙を監視する立場でした。 長年のインドネシアの圧政に対しジャングルでの命がけの闘争を続け、 独立の英雄として大統領選挙に臨むグスマン氏を見ていると、 誰もが感じる彼のカリスマは、 自らがリスクを負う勇気、 そして民衆とともに歩む姿勢が生み出したものと確信しました。

 2 「公」 のために闘う気概とやさしさを持っていること
 東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市を拠点とする楽天ゴールデンイーグルス。 本拠地の開幕戦を田中将大投手の好投で勝った後、 嶋基宏選手会長がスタンドのファンに語りかけた言葉、 忘れられません。 「何のために僕たちは戦うのか、 はっきりしました。 この1カ月半で分かったことがあります。 それは、 誰かのために戦う人間は強い、 ということです」
 スポーツの世界だけではありません。 「誰かのために戦う人間は強い」 という言葉、 噛みしめたいと思います。 誰かのために、 「公」 のために闘える人かどうか、 リーダーには不可欠な資質だと思います。

 3 不人気な政策から逃げない勇気
 今、 日本のリーダーは、 様々な制約要因の中で政策決定をしなくてはなりません。 世界史上例を見ないほどの少子高齢化。 税金を払う現役世代は減り続けるのに社会保障に必要とされる予算は毎年約1兆円ずつ増えていきます。 国と地方を合わせると借金が1000兆円にも迫る財務状況に歯止めをかける一方で、 東日本大震災の復興を行い、 原発事故の処理とも向き合わなければなりません。 このような制約要因の中、 不人気な政策であっても未来に必要と思われる政策を実施する勇気と、 国民に説明する言葉の力を持っていることはリーダーに不可欠です。

 4 アジアの成長を取り込む戦略
 今後10年間のアジアのインフラ需要は8兆㌦以上と試算されています。 上下水道や高速鉄道、 港湾施設、 再生可能エネルギー分野などのインフラ輸出の競争に勝ち抜き、 アジアの成長を取り込むことは、 経済成長を遂げ、 税収を増やす上でも不可欠です。 廃棄物処理などの技術提供や、 人材育成、 貧困や格差の解決など、 その国が抱える問題解決ともパッケージで取り組むことを示し、 日本をビジネスパートナーとするメリットを世界に伝える力、 交渉力も必要です。

 このようなリーダー像に一番近いのが前原誠司前外務大臣、 そして馬淵澄夫前国土交通大臣です。 この国難にあえて火中に飛び込む覚悟を示した前原氏には何としても次期首相になってもらわなくては、 と応援しています。 一方、 未来のリーダー候補としての挑戦権を得て頂きたく、 馬淵氏との約束も守りました。 お二人には率直にお話し、 理解を頂いています。 日本を再建するために皆さんに託して頂いた希望。 今回が最後のチャンスとの危機感を持ち、 誰がリーダーになっても全力で政権を支えます。

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