もっとボランティアを インセンティブ制度など必要

鶴保 庸介

 がんばっています、 と胸を張ることはないが、 報告はせねばなるまい。

 台風12号支援のことである。 この点、 現地に足しげく通い、 その動静を一つ一つブログ等で報告している国会議員もいるが、 私の場合は粛々とやるべきことを行うだけである。

 やるべきこと、 それは被災地に一刻も早く激甚災害指定をはじめとする資金援助を届けること。 一日も早いハードソフトの復旧を行うことである。

 そこで、 近日行われた激甚災害地域指定など、 これまでのプロセスを通じて感じたことを申し述べたい。

 まず大雨の降った翌日5日に私は被災地に赴いた。しかし当然のことながら、 土砂崩れで道路が不通で現地には入れないばかりか、携帯電話などライフラインの損傷も甚だしい状態だったので、 どの地域にどれだけの被害があるかの全体像も把握できない。

 加えて土砂ダムなどの二次災害も恐れありとのことで、 その日は主にいくつかの役所を歴訪、 激励し、 その場で東京へ電話し、 災害対策特別委員会開催を要請した。 その4日後、 野田新総理が現地入りをしていた時刻に私は東京で参議院災害対策特別委員会で質問した。 激甚災害地域への指定を通じて災害復旧をより迅速に進めること。 さまざまな課題に災害担当大臣が直接陣頭指揮を執って関係各省庁の縦割りを打破しなければ個別の復旧作業は進まないことなどを力説しておいた。 詳しくは議事録を見ていただきたい。

 その翌週、 自民党内でも災害対策本部が設置されたのでその場で激甚指定の最速記録は先の新潟福島大水害で被災後21日前後だったことを指摘。 それより早くするのが今回の被害の大きさからみて当然であることを主張したが、 役所が激甚指定は被害の状況を 「査定」 するのに時間がかかると 「言い訳」 したのでかみついた。

 国土交通省ではすでに 「査定前着工」 というような弾力的な制度を活用しており、 平野防災大臣も自らこれら制度を勧めていたこと。 被害額の査定など厳密に積み上げていては何カ月もかかってしまうこと、 これら制度がおかしいというなら立法府の我々が改正も視野に入れるべきだということなど。

 それこそ荒れ気味の会議にしてしまったが、 その週末 (先週末) には激甚指定が行われると報告が入ったので安堵。 新潟出身の議員からはこれで我々の (激甚指定までの最短) 記録が塗り替えられましたな、 と嫌みを言われたが、 先の趣旨で法制度がおかしいのよ、 とだけ答えておいた。

 これにより被災地の企業などが低利融資を受けることができるほか、 ハード面についてはほとんどの復旧作業を国のファイナンスで行えるようになっているはずであるから、 現地には少しだけ貢献できた。 しかしその週末にもう一度被災地を訪れ本宮や熊野川地域を訪問してまだまだこれからの問題ありと認識。 道路が寸断されボランティアも足りないなか、 町や家中の汚泥を手作業で掬っている姿を見て、 お金だけをつけてもこれでは元の生活に戻るまでまだまだ時間がかかると改めて痛感。 田辺市で行われた被災者の合同慰霊祭に参列してこの経験を未来に活かすことを誓う。

 具体的にはボランティアにもっと入ってもらうために、 まず災害に強い幹線道路網特に高速道路網の構築を今まで以上に急いですること。 そして、 ボランティア活動に対する何らかのインセンティブを与えること。 例えば社会貢献をしたものに対して行政刑罰の軽減であるとか、 将来、 自分自身が社会サービスを受ける権利を付与するなどの制度を作ることなどを考えるべきである。

 実際、 自治体によっては職員の互助会などからボランティアに対し慰労金が支払われている例もある。 これらのことを引き続き実現したい。 そして今週である。

 私は院の派遣でASEAN議員団会議への出席のためカンボジアに赴くことになっているが、 その際に説明を受けた外務省のODA。 東南アジア各国にこれだけのODA貢献をしている、 との説明なのだが、 なんといくつかのものは今年の7月とか8月とか。 震災後のものである。

 一つ一つは20億円程度のものなのだが、 復興財源の捻出のためにこれだけ多くの自国民が苦労しているというのに、 外国への人道的援助もほどほどにすべきではないか。 時期をずらすことも含めやり方を考えるとかできないかと指摘し、 財務省にも帰国後追及する用意があることを伝えておいた。

 今日、 ニュースを見たら、 外務省ODAは被災地生産の缶詰などを購入し、 海外に無償で送るなどのプロジェクトをしますとのこと。やればできるじゃないか。 誰もほめてはくれないが、 被災地への共感が足りなさすぎる、 ときつくやったのは無駄ではなかったと自負している。

 ただ、 そのことは12号水害が自分に思い起こさせた現実もあったと白状せねばなるまい。

 次の台風がそこまで来ているらしい。 これからは台風のたびに大丈夫かと思いやる毎日だ。

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