鉛筆で描く「風景の原始」 妻木さんが個展


 湯浅町の美術家、 妻木良三 (つまき・りょうぞう) さん (36) の個展 「ZONE (ゾーン)」 が10月10日まで、 和歌山市小野町のOnomachiα (国登録有形文化財・西本ビル) で開かれている。 円や楕円 (だえん)、 長方形と、 さまざまな形の紙に鉛筆で描かれた独特な作品が、 築85年になる洋館の各部屋や階段に展示されて不思議な空間をつくり上げている。

 妻木さんは浄土真宗本願寺派僧侶。 武蔵野美術大学・大学院で油絵を専攻したが、 「一番肌に合う素材は鉛筆と紙」 と、 鉛筆や鉛筆の粉で描いたモノクロ作品を発表し、 VOCA展や 「PRISMA」 (ドイツ) などの個展・グループ展に多数出品している。 今回は東京以外で初の個展となる。

 作品は、 ねじれながら隆起した岩山のようにも、 流れ出した溶岩が数億年かけて造り出した太古の風景のようにも、 生命体のようにも見える独特なもので、 世田谷美術館 (東京) の小金沢智学芸員は 「溶け出す風景、 世界のはじまり」 「いわば、 風景の原始とでも呼びたくなるなにか」 と評す。

 妻木さんは作品について、 「頭にあるイメージを布で形づくってから描きます。 興味があるのは質感や動き、 形、 空間。 広大な無限の世界を描きたい」 とし、「ここは面白い場所。作品と一緒に壁のはがれた部分なども見ていただけたら。夕暮れもきれいです」と話している。

 午前11時から午後6時 (10月1日のみ午後9時まで)。 水曜休み。 入場無料。問い合わせはOnomachiα (℡・FAX073・425・1087)。

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