永廣さん、『歌文ノオト 新たなる出発』出版

永廣禎夫さん
「退職後の第2の人生をつづりました」 と永廣さん

 歌人で元県立桐蔭高校校長の永廣禎夫さん (74) =和歌山市下町=がこのほど、 『歌文ノオト 新たなる出発』 を出版した。 定年退職した平成10年からの13年間に詠んだ短歌と作詞、 文章をまとめたもので、 永廣さんは 「折りしも、 本年の春の叙勲で瑞宝小綬章の栄に浴し、 併せてこの書物を刊行できましたことは私にとって望外の喜び」 と同書に記している。

 還暦は着陸ならむと思ひゐしが再び離陸の明日を意識す

 同書1首目の短歌は、 歌人・木下美代子さんから掛けられた言葉、 「60歳からが人生の青春ですよ」 から生まれた。 タイトルの 「新たなる出発」 も退職後の再スタートの意味という。

 著作としては6冊目、 歌集としては 『四季風韻』 に次ぐ2冊目だが、 歌詞や文章も合わせたこと、 詠んだ年月順に編集したことから、 「歌文ノオト」 と命名。 「ノオトは、 堀辰雄ら近代小説家がしばしば用いた表記です」 とほほ笑む。

 収録された短歌は642首。 退職後の勤務先、 奈良の風光を詠んだ 「大和を詠ふ」、 訪れた全国各地を詠んだ 「旅を詠ふ」。 さらに、

 蒼穹はあくまで澄める秋の色わが家に小さき命生れたり

 名勝の指定受くるをよろこびに心弾ませ歌枕訪ふ

 半世紀戻せば若き日よき日なり 「ローマの休日」 映画を見つつ

 など初孫の誕生や 「和歌の浦」の国名勝指定、 映画や時事ニュースに触れた 「日常を詠ふ」 の3つで構成している。

 また 「作詞編」 には、 委嘱されて作詞した混声合唱組曲 「萬葉の紀伊を歩めば」 「高野熊野時空を超えて」、 海南市立海南下津高等学校校歌、 野崎地区讃歌、 はやぶさ讃歌~おかえりなさい―など6曲を。 「文章編」 には編集発行人を務める短歌研究誌 『燦』 や、 『書の教室』 (日本教育書道研究会発行) に連載した文を収録。

 表紙写真などを提供した写真家・藤井定明さんらへの感謝の言葉で締めくくっている。
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 平成23年9月10日発行。2000円。問い合わせは永廣さん(℡0734314200)。

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