伊藤正義さん初めての個展と作品集

伊藤正義さん
作品集と伊藤さん (表紙作品は 「北こく道」)

 日本板画院同人で木版画 「刀の会」 会員の伊藤正義さん (68) =和歌山市西浜=が、 初めての個展を12日から同市九番丁のギャラリーけまりで開く。 伊藤さんは、 「昨年の同人推挙を機に作品を並べます。 まだまだ力不足ですので多くの方々のご指導ご感想をいただきたい」 とにこやかに話している。 作品をまとめた初作品集も合わせて発刊される。

 伊藤さんが木版画に出合ったのは20年前。 市主催の年賀状講座がきっかけで木版画教室に入会。 谷井照夫さん (日本板画院同人、 県美術家協会会員) や尾﨑斎晃さん (同同人、 評議員、 和歌山支部長) らの指導を受けてきた。

 同展では、 平成13年に板画院展院友推挙となった作品 「出番」 や、 同人推挙となった作品 「みのり」、 初めての大作 「不老橋」 など、 思い出深い六十数点を展示する。

  「出番」 は、 同市築港近くの製材所で、 川から巨大な丸太が引き上げられる時の迫力に感動して制作。 「みのり」 は、 生石山奥の棚田で、 手作業で収穫された稲穂を懐かしい思いで描いた。 ほか、 すしおけの補修をする職人の姿、 山里の集落、 古屋ののれん、 月下美人など。

 伊藤さんは、 「谷井先生や尾﨑先生はじめ先輩、 諸氏の温かいご指導のもと、 創作の喜びや版画の楽しさを教えていただきました。 反面、 苦しさも味わいましたが、 感謝の念でいっぱいです」 と話す。

 個展開催を勧めた谷井さんは、 「木版画は感動の端的な表現が 『命』 です。 伊藤さんの真面目で素直な生きざまは立派なもの。 その良さは作品にそのまま表れています」。 尾﨑さんは 「伊藤さんの作品を見るたびに、 私の心がやさしくなります。 …伊藤版画の完成を大いに期待します」 と作品集に言葉を寄せている。

【伊藤正義 木版画展】12~17日。 午前10時~午後5時 (最終日は4時)。 問い合わせはギャラリーけまり (℡073・432・3000)、 伊藤さん (℡073・444・1620)。