和歌山市出身SABU監督の『うさぎドロップ』公開中

うさぎドロップ
『うさぎドロップ』撮影中のSABU監督㊨と松山ケンイチ、 芦田愛菜

 和歌山市出身・東京在住のSABU (田中博行) さん (46) が監督・脚本を務めた映画 『うさぎドロップ』 が14日まで、 ジストシネマ和歌山 (同市松江) で公開されている。 松山ケンイチ、 香里奈、 芦田愛菜ら人気俳優が出演する同作品は、 人とのつながりや家族の大切さを描いた心温まる物語。 全国で上映されている他、 台湾で21日から始まる高雄国際映画祭オープニング作品となっている。 多忙なSABU監督に話を聞いた。

 SABUさんは監督・脚本デビューの 『弾丸ランナー』 (1996年) で第18回ヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞。 その後 『MONDAY』 が第50回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞、 『DRIVE』 がカナダ・ファンタジア映画祭で審査員部門・最優秀アジア映画作品賞、 『幸福の鐘』 が第53回ベルリン国際映画祭NETPAC賞を受賞など世界的に高く評価され、 おととしの 『蟹工船』 でも注目を浴びた。
 そんな男っぽさがイメージの監督だが、 今回は全く雰囲気が別。 宇仁田ゆみの人気コミックが原作の同作品は、 祖父の隠し子である6歳の女の子りん(芦田) を、 突然引き取ることになった27歳の独身サラリーマン・ダイキチ (松山) が主人公。

 慣れない子育てに慌てふためきながらも、 家族や同僚、 同じ保育園に男の子を預けているシングルマザー (香里奈) らに支えられ、 深い愛情で結ばれていく。

 ほのぼのとした味わいながらも、 監督ならではのスピード感やユーモアがたっぷり。 監督は 「自分の映画はエンターテインメント。 見る人を楽しますのは変わっていない」 と話す。

 2人の子どもがいる監督自身の経験も生かされているといい、 「(映画は)今まで渋い色でやってきたのですが、 今回はりんちゃんが来てからダイキチの部屋にカラフルな物がどんどん増えていきます」。

 また、 監督との仕事を以前から希望していた松山ケンイチさんについて、 「裏表がなくまっすぐな人。 最初に会った時から距離感が変わらず気持ちのいい人。 今回は相手の芝居を見ながら作り込んでいってもらった」。 愛菜ちゃんは、 「有名になるちょっと前でした。 初々しくて演技をするのが好き」。 現場を楽しんでいたそうだ。

 そして、 「ダイキチは、 りんちゃんを引き取ることで家族や同僚とのつながりができ、 助け合って生きていることが分かってきます。 考え方と捉え方一つで前向きになれる。 見渡したらお父さんとお母さんがいっぱいいて、 愛があふれている。 そんなことが伝わったら」 と話している。

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