木版画家 尾﨑さん 画廊開設

木版画家・尾﨑斎晃(よしあき)さん
太い梁(はり)を渡した高い天井と白い壁が印象的な画廊内で、 尾﨑さん

 和歌山市六十谷の木版画家・尾﨑斎晃(よしあき)さん(76)が先月28日、 画廊「尾﨑斎晃 光成板画館」を開いた。 尾﨑さんは木版画歴35年。 日本の伝統家屋などを黒白の美しいコントラストで詩情豊かに描き国内外で多数受賞。 ことし、世界のトップアーティスト5万8693人の中の30人に選ばれ「インターナショナル・アーティスト・グランプリ」(版画では一人)を受賞した。 画廊には今までの受賞作品の他、 31年前の作品なども展示しており、尾﨑さんは「木版画の良さを実際に目で感じていただきたい」と話している。

 尾﨑さんは、 棟方志功らが創設した日本板画院の同人・評議員・和歌山支部長。 黒と白の版画捨ててなる絵を追求し、 昨年の第60回板院展では 「華厳賞」 を受賞した。
 また昨年から評論家の勧めで海外応募を始め、 次々に受賞。 イタリアの美術展 「アルテ ジャポネーゼ ポスト モデルナ」 の 「芸術大賞」、 日本・ポルトガル修好150周年記念美術展でポルト市長賞工芸部門準大賞などをダブル受賞。
 ことしもハワイ、 ローマ、 ソウルはじめ国内外で高い評価を受け、 「ルーブル美術館世界文化遺産登録20周年記念2011年度美術史上に残る世界的名作遺産作家の称号も受けた。 海外でこれほど木版画が注目されたのは棟方志功以来という。

  「木版画はヨーロッパでは珍しく、 黒と白だけで色を感じさせることとオールジャパンが話題になりました。 オールジャパンとは、 使っている木、 紙、 墨、 竹の皮全てが日本のもので、 作る人も日本人ですから」 とほほ笑む。

 画廊開設については、 「東京の板院展と和歌山支部展で発表しても見ていただけるのは2週間ほど。 それでは作品がかわいそう。 古い作品ももう一度見てもらうことはできないかと考えていた」 と話す。

 現在は、 受賞作品の他、 1980年の作品 「山門〈直川観音〉」 や、 珍しい 「支える力士Ⅰ~Ⅳ」 「ふよう」 など20点を展示しており、 数カ月ごとに入れ替える予定。 「願いは日本古来の木版画の普及発展です。 たくさんの方にご覧いただきたい」 と話している。

 同館は同市六十谷9―5、貸ビル光成102。 開館は毎週土・日・月曜日の午後1時から6時。 入場無料。 販売はしない。問い合わせは同館 (℡073・462・1186)。

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