大江さんに特命相表彰 子ども・若者育成支援

大江さん
表彰状を持って笑顔の大江さん

 高野山BBS会会長の大江隆之さん(42)=紀の川市貴志川町=が、 内閣府の本年度 「子ども若者育成・子育て支援功労者表彰」 の 「子ども・若者育成支援部門」 で特命大臣表彰に選ばれ、 総理大臣官邸で蓮舫特命大臣から表彰状を受けた。 特命大臣表彰はことし、 全国で11団体、 個人5人が受賞。 大江さんは 「表彰式で受賞の重さを実感した。 若者に意見や指導を押しつけず、 これからも同じ目線で接していきたい」 と話している。

 大江さんは、 平成12年8月に同会を発足。 18年には、 引きこもりなどの問題を抱える若者の就労をサポートする弁当屋 「コミュニティーランチ和」 (同市米屋町)をオープンした。 これまでに約100人の若者が同店の門をたたき、 弁当の調理や配達をしながら就職先を見つけるなど、 それぞれの道へ巣立っている。

 大江さん自身も中学生の時、 不登校を経験。 盲腸の手術で体調を崩し、 学校を休みがちになった。 担任教諭に胸の内を詮索されたことに心身が弱り、 心を閉ざしたという。 定時制高校に進学し、 ある恩師に出会って日本拳法を始めたことで、 自分の中から今までにないエネルギーが湧くのを感じた。 「毎日が楽しい」 と思えるようになった。 「自分のように 『死にたい』 と思っている子もたくさんいるはず。 何かできることはないだろうか」。 その気持ちが今の活動の原動力になっている。

 同店をオープンして約3カ月がたった11月、 胃がんが発覚。 初めて支援対象の若者を迎える直前のことで、 やむなく一時的に閉店した。 訪れた若者に、 胃がんで入院することを明かし、 「必ず、 戻ってくるから。 クリスマスやお正月の雰囲気の店、 つくっといて」 と約束。 約1カ月後に復帰した。 「本当なら 『死ぬかも』 と不安になるところを、 約束を守らないとっていう気持ちに支えられた。 そのおかげで今がある」 と振り返る。

 先日、 非行少年の自立支援を目指すNPO法人 「BBS21スペース」 を立ち上げたばかり。 同団体では、 全国の同様の団体とネットワークをつくり、 相互交流にも乗り出すという。

  「私ができる 『何か』 が今していることなのか分からないけど、 若者や子どものために少しでも役に立っていたい。 これからもその気持ちは変わりません」 と話している。

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