「さよなら秀衡桜」 海南の喫茶で写真展


さまざまな表情の秀衡桜の作品が並ぶ

 熊野古道中辺路の名木「秀衡(ひでひら)桜」がことし11月1日未明、静かに倒れた。その秀衡桜を追悼する写真展「さよなら秀衡桜」が、海南市日方の喫茶サンコロムビアで開かれている。写したのは、熊野古道を約30年撮り続けている同市出身、田辺市在住の大上敬史さん(52)。秀衡桜を毎年取材していた大上さんは、「人が亡くなったような思いです。どうぞ最期の秀衡桜に会いに来てください」と呼び掛けている。

 秀衡桜は、平安時代末期、奥州藤原秀衡が妻と熊野詣での途中、手折った桜の枝をヒノキに接ぎ木したという伝説の桜。2人が参拝を済ませて戻ると、見事な花を咲かせていたと伝わる。倒れた桜はその4代目で、樹齢150年だった。

 展示されている写真は、満開の姿の他、新緑や大雪、雨の日とさまざまな表情の25点。「星降る夜」と題した作品は、ことし4月、満月と満天の星の下で数時間、秀衡桜と対話しながら撮ったうちの1枚で、大上さんは「ことしは異常なほどの満開でした」と話す。

 他、倒れた2日後の痛々しい姿▽切断後の真新しい年輪▽そのすぐ横で育っている若い5代目秀衡桜▽近くの継桜王子で行われた獅子舞の勇猛な踊りなどの作品もある。

 大上さんは、「中辺路観光協会の小松勇二郎会長によると、4代目は、自分のせいで5代目に栄養が行き渡らないのを心配したように自ら倒れたそうです。自然の摂理と引き際の潔さは感動です」としみじみと話している。展示は来年1月29日まで。午前8時から午後4時。土曜日と1月1日から3日は休み。問い合わせは同店(℡073・483・4450)。

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