信頼関係の構築を 中国への果物輸出拡大について

阪口 直人

 あけましておめでとうございます。 私は新年早々から自転車に乗って、 または自分の足で走って国会報告を配る活動からスタートしました。

 さて、 昨年の暮れ、 「若手国会議員」 として中国共産党結成90周年を記念しての招聘(しょうへい)を受け、 中国共産党の若手幹部の方々と徹底的に議論する機会を頂きました。

 中国では多くのテーマで意見交換をしましたが、 私にとって最も力を入れて臨んだのは 「国家質量監督検験検疫総局(検疫総局)」 での意見交換です。 ここは、 食品の輸出入における検疫検査や、 安全基準の遵守を行う部局ですが、 日本の国会議員としては初めて訪問し、 そのトップと意見交換を行いました。

 マーケットとしては大きな可能性のある中国ですが、 現在、 日本からの果物の輸出は、 リンゴと梨しか認めていません。 検疫検査を行う上で、 安全性を確認する上での十分なデータがないのがその理由とされています。 しかし、 香港や台湾、 韓国などの東アジア諸国に加え、 東南アジアや欧米諸国の多くで日本の果物は味のみならず安全性でも大きな評価を得ており、 輸出も可能です。 潜在的に大きな市場がある中国に、 和歌山の桃や柿、 ミカンなどを輸出できるように働きかけることは、 私にとっては大きな政治的テーマ。 実際、 2009年8月に衆議院選挙に当選後、 最初の国会質問でこの問題を取り上げました。 農水省の答弁は 「中国は科学的な根拠に基づくデータを何よりも重視して輸入受け入れの可否を決める」 とのことでした。

 このような状況を打開すべく、 さまざまな手を打ってきました。

 12月20日にはかつらぎ町出身の平野博文民主党国対委員長(元官房長官)が、 柿や桃の産地であるかつらぎ町や九度山町の町長を首相官邸に招き、 野田総理に中国に向けての果物の輸出を拡大するよう要望する機会を作ってくださいました。 また、 民主党には果物の輸出を促進するための議員連盟も発足。 私もそのメンバーになっています。

 このようなプロセスを経て、 沢山の資料をそろえて会談に臨みました。
 検疫総局のトップは、 「科学的根拠」 に基づいて判断することを改めて強調。 しかし、 その後、 他国では安全性の評価が高い日本の果物がなぜ中国ではダメなのか、 また、 なぜリンゴと梨はOKなのかなど、 「科学的根拠」 の矛盾点について質問したところ、 その回答を通し、 この問題は、 科学的な根拠よりも政治的な意味合いが強いことが分かってきました。

 特に2008年の 「毒ギョーザ事件」 以降、 日本政府による検疫の基準が厳しくなり、 彼らの目には 「常軌を逸している」 と映っているようです。 私自身は日本に入ってくる食の安全・安心を犠牲にすることはあり得ないと思います。 しかし、 中国側も、 安全対策では相当の努力をしており、 日本の対応がかなり彼らのメンツを損ね、 信頼関係を傷つけている(と中国側が感じている)ことは理解しなくてはと思いました。 そして、 このような問題が解決できれば次のステップに進めることも確信できました。

  「中国産の食品は全て危険」 とレッテルを貼るのではなく、 中国側の努力は認め、 しかし、 日本として絶対に譲れない安全基準のラインは高く保った上で、 そこに早く確実に到達できるように協力をする。 そんな過程を日本と中国が共有することで、 結果的に果物の輸入受け入れの道が拓ける可能性が高まると感じました。

 今回の意見交換で日本側の戦略の立て方には新しい可能性が生まれたと思います。 政権与党の一員として、 また果物王国・和歌山県の議員として努力を続ける決意です。

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