政治体制をリセット 「再生のスタート」が国民の義務

大江 康弘

 本年もお付き合いの程、 よろしくお願いします。

 昨年はあまりにもひどい一年でした。

 しかし、 多くの教訓を我々に残してくれました。

 少し立ち止まって 「足元を見つめ直す」 そんな啓示でもあったように思います。

 バブル崩壊後、 デフレ不況が収まらず、 失業、 雇用不安や将来の老後の不安等々、グローバル化、 ボーダレスで世界の影響がリアルタイムで受けやすくなった今日の環境とはいえ、 政治の責任は最も大きいと言えます。
 とりわけ民主制のもと、 国民が選んだ現政権の担当能力の欠如がさらに環境悪化を進めていっているのは誰もが認めるところであります。

 昨年は 「復旧、 復興を一日でも早く」 という言葉が合言葉となって全てに優先、 それがコンセンサスとなって一丸となってやってきた事は当然でありましたが、 いつまでもこの 「復旧、 復興」 が錦の御旗、 大義名分とされ、 何をしても許されるという現政権の甘えは正に火事場泥棒の様相を呈し、 このままなし崩しにいつまでも政権運営を続けていくことは、 政権欲しさに、 出来もしない公約を掲げ、 国民をだまし続け、 しかも今、 また消費税増税をどさくさに紛れて国民に求めようとしている姑息(こそく)なやり方は、 どう考えても民主制度の否定であります。

 新しい年となった今、 次のページへと進んでいく時であり、 国民もそれは認めるべきであります。

 そんな中、 今、 世間は 「リーダー論」 がかまびすしい中、 大阪市長となった橋下氏が耳目を集めています。 彼を見ていると、 カリスマ政治家の様なメッセージ、 魅惑的で計算された言動にはある種リーダーとしての素養、 素質を伺い見る事が出来ます。

 停滞した閉塞感で覆われている今の日本や政治環境に良い意味で打ち破っていく影響を発揮してくれればと期待する一人ですが、 大切なのはそもそもなぜ、 彼のようなリーダーが大阪を中心として、 全国的にマスコミを通じて取り上げられるようになってきたのかというバックグランドをしっかりと認識しておかないと、 根本的な政治の是正にはつながっていかないということであります。

 それは単に彼個人、 橋下氏のキャラクターだけの要因ではないと知るべきです。

 今から約2200年前にギリシャの歴史家ポリビュオスはその著書ヒストリー・アイで政体循環説を著し、 政治家が国民に迎合した結果、 民主主義は大衆民主主義となり、 結果、 衆愚政治を生み出して(ポピュリズム)、 世の中に閉塞感を生み、 それがやがて英雄待望論につながっていくと彼が喝破したように、 すでにこの3年近い民主党政権ができもしない公約を国民に示し、 そのバラ色の公約に期待したが、 経験不足の稚拙な政権運営は現実とかけ離れ何一つまともに政策が実現しないまま、 国民は失望、 あきらめ、 そして政治への不信感が嫌悪感を生み、 閉塞状況を作り出す中、 元気の良い計算し尽くした橋下氏が英雄待望論の期待に応え、 表舞台に登場してきたのが、 今の現実であり、 ポリビュオスの炯眼(けいがん)には頭が下がる思いです。

 言葉遊びでこのような英雄待望論を生み出す、 衆愚政治の環境、 土壌を作ってきた民主党の責任は非常に大きいと言わざるを得ません。

 とにかく、 今年は早い時期にしっかりと政治体制をリセットさせる、 その上で政治をしっかりした軌道に乗せ、 この失った3年間を取り戻し、 本当の意味での再生のスタートをすることが我々や国民に科せられた義務でしょう。

 国民にその機会を与えるべきです。

 我々には時間がないのです。

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