内なる叫び表現し最高賞 フラメンコの知念さん


先月の授賞式でもらった賞状と盾を手に

 19歳でスペインに渡り、 フラメンコを習い始めて12年。 ずっと持ち続けていた夢、 苦しいときも諦めずに努力し続けてきた 「コンクールでの受賞」 という夢を昨年8月にかなえた。

 日本フラメンコ協会第20回新人公演バイレ/ソロ部門 「ソレア」 で最高賞にあたる奨励賞受賞は、 県内初の快挙。 先月22日には東京での授賞式に出席し、 あらためて喜びをかみしめた。 「名誉ある賞に恥じないよう、 ますます精進していきたい」 と話す。

  「ソレア」 は、 孤独や苦しみを表現する踊り。 「東日本大震災被災者の大きな悲しみに少しでも歩み寄りたい、 見てくださる方々の心に届くソレアを」 と踊り、 審査員に 「内なる叫びが聞こえてくるよう」 「静謐(ひつ)さも併せ持ち、 舞踊性が高い」 「切れがよくて熱いフラメンコ」 と評価された。

 実はおととしも同コンクールに出たが、 緊張のあまり思うように踊れず悔しい思いをした。 「1000人くらいが見ている前でどうプレッシャーと闘うか。 1年間、 何千回と練習を繰り返し、 体が勝手に動くまで覚え込ませた。 当日は気持ちだけでした」 と振り返る。

 7歳の女の子と4歳の男の子の母親でもある。 フラメンコ教室ラ・ダンサ・アンダルシア講師としての仕事と自分の練習で、 子どもとの時間をあまり確保できず胸が痛かったが、 「だからこそ頑張れた。 限られた時間にすごく集中できた。 娘もすごく喜んでくれました」。 さらに 「周りの方の協力があったからこそ」 と感謝。 師でもある母 (森久美子さん) に 「ようやく恩返しできた気がする」 と話す。

 昨年11月には、 賞を取ったらとの計画通り、 独立し教室を開いた。 そして今、 3年前ファイナリストまで進んだが入賞できなかったCAFフラメンココンクールを目指している。

 「試行錯誤してコンクールに出るのが楽しい。 レベルの高い方が集まるので刺激になる。 でも、 舞台には本当に魔物がいる。 心を強くしていないと食べられてしまう。 練習するしかない」

 舞台での激しさとは別人のようなおっとりした語り口に、 静かな闘志を秘める。

 「フラメンコの魅力ですか? 生きることの喜びや悲しみ苦しみを表現できるところと、 すごく難しいところ。 常に勉強していないとついていけないし、 勉強したところで追いつけるものではない。 そこが魅力」

 そして 「フラメンコは間違ったイメージを持たれている」 と残念そう。 「本当のフラメンコは難しくて面白い、 かっこいい魅力のある踊りだと知ってもらいたい」 と話している。

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