一刻も早い改正を 郵政見直しで具体案提示

西 博義

 公明党は2月22日、 郵政民営化法の改正案を発表した。

 郵政民営化法は、 いわゆる小泉郵政改革によって成立した。

 現行法では、 「株式の売却の度合いに応じて、 ゆうちょ銀行・かんぽ生命(金融二社)への規制緩和を行い、 新たな事業展開を認めて経営の自由度を増やす」 という方針のもと、 2017年までに金融二社の株式を全て売却することになっている。

 これでは、 銀行などの金融サービスが、全国どこでも受けられる「ユニバーサルサービス」として提供される保証がないとして、政権交代後、民主・社民・国民新党から 「郵政株式処分停止法案」 が提出され、 可決した。 そのため、 金融二社の株式売却は行われていないし、 新規事業も認められていない。 郵政民営化は、 宙に浮いた状態となっている。

 郵政事業の経営は厳しさを増しており、 郵政見直し問題について、早期の打開が大きな課題となっている。

 これまで民主・自民・公明3党の実務者間で10回を超す協議を重ねてきたが、合意に至っていない。 膠着(こうちゃく)した状況を打開し、 議論をリードすべく、 われわれが民主・自民両党に具体案を提示したのである。

 私は昨年より、 党の郵政改革チームの一員として立案作業に関わってきただけに感無量である。 政府が保有する日本郵政株式会社の株式売却益について、 われわれは大震災の復興財源として充てることも主張しており、 郵政見直し問題に早く答えを出すよう力を尽くしてまいりたい。

 公明党の改正案の主な内容は、 次の通り。
 ①郵便局会社(窓口事業)と郵便事業会社(集配事業)を一体化して、 経営の効率化を図ること。
 ②政府は持ち株会社である 「日本郵政株式会 社」 の株式の3分の1超を保有するが、残りはできるだけ早く売却すること。
 ③ゆうちょ銀行、 かんぽ生命保険の株式の売却は、 日本郵政株式会社の経営判断に委ねること。
 ④郵便、 貯金、 保険の三事業については 「ユニバーサルサービス」 として義務付けること。

 ところで、 郵政事業の歴史をひもとくと、 1871年(明治4年)に、 官営による郵便事業が始まる。 この近代郵便事業の展開は、 「郵便制度の父」 と呼ばれる、 二代目・前島によって行われた。

 初代駅逓頭(初代郵政大臣)は、 私の故郷・広川町の偉人、 「稲むらの火」 で有名な浜口梧陵であるが、 ご存知の人は少ないと思う。 浜口は、 前島とすぐに交代しており、 在任はわずか20日間であった。

 浜口があまりにも早く解任された理由として、 「郵便は、 江戸時代に飛脚屋が行ってきた仕事であるから、 将来は民間の経営に委ねたほうがいい」 と主張したためといわれている。

 その後、 郵便貯金、 簡易保険事業が加わり、 郵政事業は、 130年余にわたって国営事業として営まれてきた。

 長い年月を経て、 いま再び浜口梧陵が志向したように、 郵政事業は民営によって行われることとなった。

 全国どこでも身近に利用できる窓口を維持して利用者の利便性を図りつつ、 健全な郵政事業の発展を図るために一刻も早い郵政民営化法の改正を実現しなければならないと心に誓っている。

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