まだ3割の世帯に届かず 避難カード

 東日本大震災の発生を受け、 県民に最寄りの避難所を書き込んでもらおうと県が全世帯分43万枚作成した 「避難カード」。 市町村を通じて昨年7月から配布しているが、 8カ月が経過し、 まだ3割の世帯に行き届いていないことが分かった。 台風12号災害への対応で手が回らない紀南地方がほとんどだが、 台風被害の少なかった紀北地方でも一部滞っているという。 県総合防災課は同カードを増刷し、 新年度から配布方法を工夫するなどして、 カードや避難所のさらなる周知を図る。

 同課によると、 同震災後、 市町村は緊急避難先となる避難所について、 3段階の安全レベルを設定して見直した。 県は見直し後の避難所のリストと共に、 同カードを全世帯へ配布するよう、 昨年7月に市町村に依頼していた。

 県の把握では、 海南市、 橋本市、 田辺市、 新宮市、 九度山町、 印南町、 南部町、 白浜町、 古座川町、 串本町、 日高川町の11市町で全世帯への配布が済んでいないという。 台風12号災害では、 紀南地方の指定避難所のうち50カ所が浸水被害を受けた。 県は風水害の避難所の点検をするよう市町村に指示しており、 その対応に追われている市町もあり、 本年度中に県内全世帯へ配布し終えるのは難しいという。

 同課は 「避難所は随時見直し、 変わるものなので、 早期にリストを作成して配布するよう呼び掛けている。 余分がほとんどないため、 きっちり全世帯に配ろうと市町村が慎重になっているところもある」 と話す。

 また、 全世帯に配布している市町村でも、 避難所のレベル分けについて理解が十分でないところもあり、 同課は 「避難所を書き込んでもらわないと意味がない。 機会ごとに広めることも大切」 と話す。 県は今後、 避難カードを増刷し、 各種避難訓練、 県主催の講座などで配る予定。 その他、 県教委を通じて学校に配布し、 子どもたちが家庭で避難所について話し合えるように働き掛けるという。

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