テレビ映像の公的保管を 文化散逸、責任報道を問う

鶴保 庸介

 先日、 ようやく衆議院本会議で鳥獣被害対策措置法案の改正案が可決されました。

 これにより、 いくばくかは被害鳥獣の捕獲が進むものと期待しております。 関係の皆様には改めてお礼を申し上げたいと思います。

 ところで、 この法案の進行の陰で痛切に感じたのはやはり役所は全国一律の基準を地方に当てはめて、 それぞれの地方の実情に応じた対応がないがしろにされていたということです。

 県内に射撃場がないのに猟友会員に射撃演習を義務付けていたり、 猟銃の所持許可要件に精神科の診断書の添付を義務付けたり。

 なぜ東京の物差しで役所が動かねばならないのか。 熊が出没し被害を出している地域と一緒にはなりません。 最近でも自転車の危険運転が話題になっていますが、 人口密集地域で自転車がスピードを出して走ることは危険ですが、 その観点から一律の自転車に関する規制をかけることはおかしいはずです。

 もうこれらのことは以前から主張してきたことですから繰り返しませんが、 このことは今後も大きな問題となるでしょうし、 事実 「維新の会」 の政策はアプローチは違いますが、 同じことを挙げています。
 それにしても私たちはなぜこのような状態を当たり前のように受け入れているのでしょうか。

 様々な要因があるでしょうが、 私はその一つにテレビ等の報道にも責任の一端があるように思います。 先の自転車の例でいうと、 連日報道されるのは東京の混雑した交差点の一角で人ごみの中を曲芸のように疾走する自転車の映像です。

 では、 地方の田園で悠々と走る自転車の映像や河川敷などに整備されているサイクリングロードの様子が流されているのをご覧になったことがあるでしょうか。

 知らず知らずのうちに映像によって自転車で走ることそのものが危険なものであるかの 「洗脳」 を受けているのでないかと思い、 テレビ局にそうした報道ぶりを問い合わせてみました。 しかし、 その回答は 「映像は保管しておりません」。

 驚いたので念のため確認するとそのほかのドラマやアニメなども 「保管していません」 「存在していません」 との答え。

 新聞や週刊誌など紙媒体は過去のものもさかのぼって見れるのに、 映像は保管の義務も機関も全くないことがわかってきました。

 そこで日本国中のすべての出版物を保管している国立国会図書館に調べてもらったところ、 先進国の多くはすでにこれらのことを 「文化の散逸」 防止の観点から映像の保管をしていることもわかってきました。 特にアメリカでは我が国の国会図書館にあたる国立の図書館が地上波、 BS、 CSの放映をほぼすべてデジタル保管しているという事実も。

  「これは日本が遅れている」 そう思い、 国会図書館を所管する議院運営委員会の理事メンバーにこのことを持ちかけてみましたら、 やはり同じような問題意識を持った議員がほとんどでした。

 そこで、 現在このことについての検討会を衆議院の議員運営委員会の理事メンバーとともに立ち上げることに。

  「国会議員さんなんて歳費の削減どころか、 ただでやってもらえばいいんですよ。 全員ボランティアで」 と言ってのける元グラビアアイドルがコメントした後、 反論もなくコマーシャル、 なんて映像を見ると、 責任報道ってなんだろうって思いますね。

 その点、 この新聞などはそうはいきません。 すべて将来にわたって国会図書館に保存されているのですから、 いい加減なことはかけません。

 また、昔懐かしい「ひょうきん族」や「全員集合」が散逸して存在しなくなっているのもさみしいですよね。

 映像も残すべきです。 著作権とか難しい問題はありますが、 そこは国会図書館という公共が権利侵害にわたらない手立てを考えつつ、 行えばよいのです。 現在はどんな問題点があるか図書館職員のみなさんに頑張って検討してもらっている段階ですが、 やがて 「国会図書館法改正案」 なるものがでたら、 ああ鶴保がいっていたあれね、 と思い出してくだされば幸いです。

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