言葉の力伸ばす研究成果一冊に 美里中


コミトレを実践してきた教員の芝田裕宣さん㊧と鈴木有香子さん

 6年間、 生徒の 「コミュニケーション能力の向上」 の研究に取り組んできた紀美野町野中の町立美里中学校 (大西孝亮校長、 生徒48人) は、 研究成果をまとめた本 「伝え合う力を育むコミュニケーション・トレーニング」 (A4サイズ、 180㌻) を発行した。 生徒の 「言葉の力」 を伸ばす学習 「コミトレ」 を紹介している。 同校が本を出版したのは初めて。

 同校では6年前、教員同士で生徒の実態について話し合った際、「声が小さい」「表現することが苦手」といった意見が上がり、その課題解決に向けて取り組み始めた。

 平成18年に県の「きのくに学びの創成支援事業」の研究指定を受け、「コミュニケーション能力の向上」を研究主題に掲げた。視察した広島県の忠海中学校の取り組みを参考に「コミュニケーション・トレーニング(コミトレ)」を考案し、授業で実践を始めた。

 コミトレは約10~15分でできる。生徒に「クモとゴキブリのどちらが嫌い?」「星空は好き?」などの問題が書かれたプリントを配り、生徒は答えとその理由を考えて記入する。記入後、答えの文章が分かりやすいか、説得力があるかなどを評価する。生徒が班に分かれて評価し合ったり、自己評価したりする。

 慣れてくると理路整然とした文章が作れるようになり、 話し合いや発表活動など、 国語だけでなく他の教科でも応用できるようになってくるという。プリントに「書く」コミトレの他、「話す」「聞く」「読み取る」など徐々にパターンを増やしていった。コミトレの成果か、同校の日本語文章能力検定の成績は全国の平均点以下だったが平均点以上になった。

 ことし4月から新学習指導要領が実施されているが、 同校では6年前からすでに同要領で掲げている「自ら考え、判断し、表現する力」を実践しており、先見の明があったと教員らも驚いている。同校では「今後も継続し、より効果的なコミトレを作っていきたい」としている。

 本は東洋館出版社から発行。一冊2300円。 監修は同志社大学文学部講師の遠藤瑛子さんが務めた。 問い合わせは同校(℡073495・2016)。

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