県内学校の総点検を実施 防災・減災対策に全力

西 博義

 3月末に、 内閣府の 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」 が、 巨大地震による震度分布・津波高の推計結果を発表した。 その内容は衝撃的だった。

「南海トラフ」 で発生する地震・津波の最大規模はどうなるのか、 新しい想定が示されたのである。

  「南海トラフ」 とは、 駿河湾の沖合いから四国沖南方へ延びる海底の深い溝のことである。 非常に大規模な活断層であり、 この周辺で東海・東南海・南海地震が発生する。

 新想定によると、 最大震度はマグニチュード9・1、 和歌山県下最大の津波はすさみ町で18・3㍍に達するなど、 これまでの 「想定外」 の結果であった。

 津波のスピードは予想以上に速く、 例えば 「1㍍の津波」 の最短到達時間を計算したところ、 紀伊半島南端では、 2分となっている。 避難のための時間的な余裕はあまりない。 このスピードが信じられなくて、 政府の担当者に確認したら、 津波の速度は、 水深の深いところでは新幹線並みのスピードだという。

 津波の高さは、 有田市以南の海岸では軒並み10㍍以上となり、 堤防だけでは津波の被害を食い止められない。

 もちろん海岸線を縫うように走る国道42号線はズタズタに寸断される。 このままでは救援も困難を極めることは必至だ。

 政府は、 今後さらに、 詳細な検討結果を報告するとしているが、 和歌山県では、 早速、 沿岸部の津波高の想定や浸水予測図を作成するため、 有識者による検討委員会を立ち上げた。 一刻も早い検討と対応を期待したい。

 さて、 私たち公明党和歌山県本部では、 現在、 釜石の奇跡稲村の火の教訓を生かすべく、 「防災教育の充実を求める署名」 運動を行っている。 皆さまにもぜひ賛同をお願いしたい。

 また、 議員と党員で、 県下の全ての小中高校について、 防災倉庫、 非常用電源、 水・食料の備蓄など、 避難所としての機能を備えているか、 総点検も実施している。

 党本部においては、 「防災・減災対策チーム政策検討会議」 という組織を立ち上げ、 私が政策をまとめる任にあたることになった。

 地震や津波に強い国土やまちづくりをめざし、 建物・堤防・道路・橋など社会基盤の防災・減災機能を強化する 「防災・減災ニューディール」 事業を10年間で集中的に行うことを検討している。

 和歌山にとって、 高速道路は、 津波からの避難場所となり、 国道42号線が寸断されたときの救援ルートとなる。 高速道路は、 命の道なのである。

 ハードだけに頼ってもいけない。 釜石の奇跡は、 そのことを教えている。 「避難3原則」①想定にとらわれない、 ②最善をつくす、 ③率先避難者になるを徹底した防災教育は、 皆が学ぶべきだと思う。 こうした防災教育の推進をはじめ、 地域の防災力の向上など、 ソフト面の対策が大変重要である。 総合的な対策を講じていきたい。

 災害が起こった時には司令塔として役割を果たす 「危機管理庁」の創設等についても議論している。

  「東海・東南海・南海地震」 や 「首都直下地震」 の発生が懸念されている。 防災・減災対策は最優先課題である。 全力で取り組んでまいりたい。

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