国会図書館で映像保存を 文化、歴史の散逸防止へ

鶴保 庸介

 私が委員長を務めさせていただいています議院運営委員会とは地方議会でいうところの議会運営委員会。 なぜ呼び方が違うのか、 とよく聞かれます。 議会全般の持ち方を取り決め、 法案の生殺与奪を握る、 というのはどちらも共通しているのですが、 一つ違うのはそれ以外の所掌が 「議運」 にはあること。

  「議運」 は施設やその中身に関する運営もこれにあずかり、 その対象は国会議事堂はもちろん、 議員会館、 宿舎にまで及びます。 したがってエレベーターの管理から衛視さんや運転手さんの処遇、 はては議員食堂の箸の選定(実際にあった話)までを決めることになります。

 昨年末に参議院がサイバーテロ攻撃を受けたというニュースが流れましたが、 その後、 テロ対策室を設け大幅に組織改編をしたのも我々議運で連日のように協議をした結果です。

 その後、 テロ攻撃は収まっていますが、 問題が起きてからでは遅い、 ということで断続的に各議員のパソコンに抜き打ちでおとりメールを出して注意喚起を呼びかけるなどしていますから、 これもわが議運の成果と自負しているつもりです。

 そんな中、 これも所掌である国立国会図書館を視察しようということになりました。

 その際、 図書館側から放送の映像も保管できれば国会図書館の役目である日本の文化の維持発展に大きく寄与することになるとの発言があり、 そのようにできないかを検討しようという話になりました。

 もちろん国会図書館は衆議院の議運との共管ですから何もかもが我々の思うとおりになるものとは思っていません。

 しかし、 趣旨を理解いただくため衆議院側へ出向いて説明に行くと大賛成。

 爾来、 これらを衆議院側と合同で検討する委員会を立ち上げ、 骨子案を作るまでになりました。

 過去に放送された映像の数々は現在のところ授権された各放送局が自主的に保存しているにすぎません。 したがって保存の義務も保存の確証もありません。 さらに多くの場合、 放送局に問い合わせても著作権の関係で 「存在しない」、 「持ち出せない」 という回答が返ってくることがほとんどのようです。

 これでは震災の映像のように学術資料としても大変貴重なものですら、 研究者の要望に応じることができないことになってしまっています。

 これではせっかくの放送映像が一過性のものになってしまう。

 私たちはアトム世代だ、 ガンダム世代だ、 なんて会話が成り立つように、 日本のテレビ文化が世界に冠たるものであり、 これらの歴史映像が散逸を防ぐ目的で国の機関に保存されることはとても意義深いことだと考えています。

 世界的にも、 先進各国がこれらの取り組みをしており、 特にアメリカなどは日本の国会図書館にあたる部局ですべての映像が保存されています。

 しかし、 先述の骨子案を記者会見すると、 多くのマスコミは警戒心をむき出しにしていました。

 中には検閲に当たる、 などというばかげたことを言われる人もいて、 いやはや道は険しいと感じています。

 しかし、 ぜひご理解を得て一刻も早く実現を期したいと思います。

 みなさんはいかがお考えでしょうか。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧

がんばってます

月別アーカイブ