海岸沿いをカバーへ アマチュア無線の中継網


トルコとの無線通信風景(15日、和歌山市で)

 大規模地震などの災害時に備え、一般社団法人日本アマチュア無線連盟(稲毛章会長)はデジタル方式のアマチュア無線(D―STAR)に利用するレピータ(中継装置)を田辺市と串本町に設置した。年内に予定している新宮市への設置で、紀伊半島の海岸沿いをほぼ全域に渡ってカバーできる中継網が完成する。

 「D―STAR」は同連盟が開発した音声やデータ通信をデジタル方式で行う新しいアマチュア無線の通信方式で、国内外で広く使われている。通常は無線機間で交信するが、レピータを経由した中継交信により、直接通信が届かない建物や山陰の交信が可能となる。

 県内にはすでに高野山や紀の川市、有田川町にアマチュア無線団体がレピータ設置済み。災害時に救護班の活動機能向上を図ろうと、日赤県支部の無線室にも同システムの端末が設置されている。

 15日は和歌山市の同支部で「アマチュア無線におけるデジタル通信を利用した広域支援通信システム」の式典が行われ、同支部のシステムを利用し、トルコやオーストラリアとの通信が行われた。

 同連盟の長谷川良彦理事は「和歌山からスタートするシステムの標準を日本全国に広めていけるよう努めたい」とあいさつ。来賓の仁坂吉伸知事は「利用することで危機に備え、県民の命や暮らしを少しでも守りたい」と話した。

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