小型衛星が宇宙へ 和歌山大などが研究開発


製作に当たった研究者ら

 和歌山大学宇宙教育研究所(秋山演亮所長)が中心になって、東京、東北の2大学と連携し平成22年度から研究を進めていた小型衛星「RAIKO」(10×10×20㌢)が完成し、このほど宇宙航空研究開発機構(JAXA)に引き渡された。小型衛星は来月、ロケットに搭載され、種子島宇宙センターから打ち上げられる予定。

 今回の打ち上げでは、これまで行われてきたロケットから小型衛星を直接軌道上に放出するのではなく、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に一度運び、きぼうのロボットアームで船外に放出し軌道に乗せるという。

 世界初の試みに同センターは「この試みが成功すれば、これまでの『地球から宇宙へ』から、より宇宙開発が進む『宇宙から宇宙へ』への動きが実現する」と期待を込めている。

 この研究は、平成22年度の国の採択事業として、秋山所長(42)が総括責任者となり小型衛星の開発を進めてきた。今回のRAIKOは、来年度に宇宙放出を計画している大型衛星のために試験的に放出され、搭載された魚眼レンズで地球の撮影に挑む。

 大型衛星については、宇宙新興国である東南アジアなどと連携し、衛星を使った新しい産業の創出などを計画している。また、熱センサーなどを搭載し、いち早く森林火災の探知などができるように技術開発も進めるという。

 RAIKOの打ち上げに秋山所長は「ようやく完成にまでこぎつけました。まずは第一歩を成功させ、大型衛星運用に弾みを付けたいですね」と話している。

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