東北、紀南の中学生 被災地の経験伝える

防災宣言の内容を話し合う生徒ら

 東日本大震災と紀伊半島大水害の被災地の中学生を招き、和歌山市の中学生と防災学習をテーマに意見交換、交流する「明日の和歌山市を築くジュニア会議」が1日、市消防局で開かれた。被災した生徒たちの思いや取り組みの報告があり、地域や仲間とつながり、災害から命を守る大切さなどを訴える「中学生防災宣言」を発表した。

 市内18校の生徒36人と、被災地から岩手県の3校、福島県の2校、田辺市と古座川町の各1校の生徒17人が参加した。

 被災地の7校が取り組みを報告。生徒たちは、津波に飲み込まれ奇跡的に助かった壮絶な体験をはじめ、避難所の運営や夕食作りなどの活動に携わったこと、被災した学校で工夫しながら授業や部活動に励んできたことなどを紹介した。

 こうした体験を通して、「生きていればまた必ず会える」と信じて自分の命を守る大切さ、人の温かさともろさ、当たり前の生活ができる幸せなどを、生徒たちはかみ締めるように語った。

 報告の後、生徒たちは7班に分かれて討議し、各班が「地域とつながり信頼関係を築き、全員の命を守るよう取り組む」「一人ひとりの力を信じて自分のできることを精いっぱいする」などの防災宣言をまとめた。

 大橋建一市長、大江嘉幸市教育長は生徒たちをたたえ、今西武和歌山大学客員教授は「中学生が地域の防災力のけん引車であることをあらためて感じた。防災啓発活動を続けていく勇気をもらった」と講評した。

 河北中3年の中川雄貴君(14)は「被災地でどれだけつらいことがあったのか勉強になった。防災の意識が変わった」。岩手県宮古市立津軽石中3年の長谷川桃子さん(14)は「私たちが経験したことを伝えるいい機会になった。生かしてもらえたらうれしい」と話していた。

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