マイナンバー法案の行方 秋の臨時国会で修正協議

岸本 周平

 臨時国会が終わり、 衆議院で可決された 「議員定数45減」 の政治改革法案や、赤字国債発行のための公債特例法案が、 参議院では審議もされず廃案になりました。 衆議院が自ら身を切る覚悟で45議席減を決定したのに、 参議院は4増4減と議席は減らしません。 その参議院が衆議院の改革に待ったをかけるのは行き過ぎです。 また、 重要なマイナンバー法案は野党の審議拒否もあって、 衆議院での審議も始まりませんでした。

 マイナンバーとは、 国民全員に一人一つ公布される新しい番号です。 その役割は、 「行政手続き」 の中で、個人を特定し、その人に関する情報を正確かつ効率的に名寄せをして突き合わせるためのものです。 この結果、 所得隠しや意図的な氏名変更による不正な社会福祉の受給が減ります。 また、二重の給付や給付漏れなどが減り、資格がある人には確実に給付がなされます。

 さらに、 各種の申請の際に、 添付書類が不要になりますので、 無駄な役所回りをしなくて済みます。 そして、 災害時には要援護者を素早く把握でき、 医療や介護が受けられます。

 社会保障や税金に関する自分の情報をパソコンや将来的にはスマートフォンで簡単に確認できるようになります(マイポータル)。 逆に、 個人や世帯の状況に応じて、 役に立つ情報が役所から教えてもらえます(プッシュ型情報通知)。

 個人情報保護のためには、 独立性の高い 「個人番号情報保護委員会」 が設置されます。 また、 マイナンバーが保護されるように、 徹底した高度のIT技術が使われます。

 まずは、 年金や税金の利用から始まりますが、 いずれ、 医療や介護、 子育て関係などの情報についても広げていく予定です。 マイナンバーによって、 国民一人ひとりの便利さが飛躍的に伸びますし、 行政も効率的なものになります。

 また、 IT技術がベースなので、 日進月歩の技術革新に対応できるよう、 技術水準に関しては法律でしばらずにオープンにしています。 まさに、 スマートフォンや生体認証などの技術も、 取り入れていくことになるでしょう。

 今から25年前、 私が首相官邸の勤務から大蔵省主税局の課長補佐に転勤して最初にした仕事が、 政府税制調査会の 「納税者番号制度」 の研究でした。 先進国ではほとんどの国が導入している国民の共通番号制度が、 日本では、 長い間放ったらかしになっていました。 今回は、 納税の観点よりも、 むしろ社会保障の公平な受給の観点が重要視されました。 ですから、 スムーズに進んできたと思います。

 今後は、 秋の臨時国会で、 自民党の平井たくや代議士、 公明党の高木美智代代議士と私の三人で、 三党間の実務者協議を行います。 国民にとってより便利なように、 個人情報がより守られるように、 可能な限り良い修正となるように話し合いをしていきます。

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