2人合わせて182歳! 能面打ちに夢中


自作の能面を前に、完成間近の面「鷹」と「中将」を持つ田宮さん㊧と吉川さん

 2人合わせて182歳!の女性が、 熱心に能面打ちに励んでいる。 岩出市根来の田宮末代さん(95)と、 紀の川市粉河の吉川(きっかわ)秀子さん(87)だ。 85歳から習い始め、 秋篠宮さまに自作の面を差し上げたこともある田宮さんは、 14面目が完成間近。 76歳から始めた吉川さんは10面目がほぼ完成している。 2人は 「次は何にしようかなと楽しみ」 と意欲満々で話している。

 2人が通うのは和歌山市吹屋町の能面師・久保博山さん(72)宅。 吉川さんは電車に乗り、 JR和歌山駅から徒歩。 田村さんは最近こそ家族に送迎してもらっているが、 近鉄カルチャーセンターに教室があった時は一人でリュックを背負って通っていた。

 種類により、 骨格や表情が全て異なる能面。 四角いヒノキ材からノミで形を彫り出し、 滑らかにして彩色し、 目や髪の毛を書く。 手間と集中力、 知力、 体力のいる作業だ。

 吉川さんは小学校入学前に能面に興味を持ち、 15歳の時に東京で能楽に魅せられた。 勤めを早期に辞めて謡と仕舞を習い、 やがて能面を打つように。 根来寺かくばん祭りでは地謡を務め、 自作の面で4度舞った。

 一方田宮さんは、 80歳ころから謡を始め、 吉川さんに誘われて以前から興味があった能面打ちに 「一面だけでも」 と挑戦。 今やかくばん祭りでは、 2人の面で他の人が舞うまでになった。

 朝起きると一番に新聞を隅々まで読むという田宮さんは、 毎夕散歩し、 編み物にも熱中。 何十年と日記と家計簿をつける。 なんと歯は全部自分の歯だ。

 久保さんは 「お二人には、 教えるというより教えられることの方が多い。 エネルギーをもらえる」 と感嘆する。
 知り合って20年という2人。 田宮さんが 「若さの秘訣(ひけつ)? くよくよしないこと。 でも最近記憶力が落ちた」 と笑うと、 吉川さんが 「判断力、 考える力は今もすごい」 とすかさずフォロー。

 その吉川さんも気力や記憶力は抜群。 「やっと、 人生半分来たわ」 と言って周囲を和ませている。

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